東京2020とは何が違う? エスタンゲ会長に聞く「パリ五輪とD&I」

パリ2024組織委員会会長のトニー・エスタンゲ氏(写真:高橋誠/アフロ)

コロナ禍での開催となった東京2020オリンピック・パラリンピックが閉会式を迎え、バトンを受け取ったのはフランス、パリ。今、まさに準備に向けてスタートを切った次の大会「パリ2024」を先導するのが、43歳の若きパリ五輪・パラリンピック組織委員会会長トニー・エスタンゲ氏だ。

自身もオリンピアンで、現役時代、カヌー競技で金メダルを3個獲得したエスタンゲ会長が、パリ大会で大事にするキーワードは「インクルーシブ」だという。お話を伺った。


──実はForbes JAPANはこの夏から「インクルーシブ・キャピタリズム」をビッグテーマとして掲げています。これはビジネス界だけではなく、社会全体で、将来的に私たちが自覚、共有していかなければならない世界共通の理念だと考えています。今回パリから届いた「2024年パリ・オリンピック」のプレゼンテーションビデオを拝見して、そのメッセージはまさにこの「インクルーシブ・キャピタリズム」に合致していると感じました。

パリ2024を開催するにあたり、私たちは大胆でクリエイティブなアイデアを駆使して、全く新しいモデルを構築し、そのメッセージを世界中の人たちに向けて提案、発信しようとしています。

たとえば、具体的な例として、以下のようなことなどを挙げることができます。

1. 会場をスタジアムから都心へ、予想外のランドマークに移すという画期的な計画
2. オリンピックの精神に、ユニークなフェスティバル・ムードを添える「若々しくダイナミックな4つのアーバンスポーツ」の追加
3. 大会競技と同じ日に、同じコースで行うマラソン大会や自転車ロードレースなど、一般の人たちも大会に参加できる、全く新しい形のスポーツイベントの開催
4. 大会の祝賀ムードを公共の場で多くの人々とともに楽しむことができる新しいセレモニー・コンセプトの構築


(c) Paris 2024

そして、「気候変動を含む地球環境問題」「社会的な不平等の認識」「それに伴う経済的責任の必要性」など、現在地球上で起きている主要な共通課題を意識した、持続可能で開放的な大会を目指しているんです。

スポーツは、人種、性別、経済的な格差などにとらわれず、世界中の人たちを繋げる力を備えていると思いますし、だからこそ、環境や社会への責任を深く追求し、独創的な提案を実現する「2024年パリオリンピック・パラリンピック」は、まさしく「新しい時代の大会」であると自負しています。


(c) Body, (c) Paris 2024
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インタビュー・編集=谷本有香 文・翻訳=賀陽輝代 企画コーディネート=宇藤智子

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