東京2020とは何が違う? エスタンゲ会長に聞く「パリ五輪とD&I」

パリ2024組織委員会会長のトニー・エスタンゲ氏(写真:高橋誠/アフロ)


──例えば2024年にパリでオリンピック・デビューを果たす「ブレイキン」がコンコルド広場で行われるなど、新時代のスポーツとアートとの融合、さらにアスリートだけではなく、誰もが大会に積極的に参加できるような取り組みも計画されていると伺っています。
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Photo by Baptiste Fernandez/Icon Sport via Getty Images

大会開催に向けて史上初の「パリ2024クラブ」を創設し、一般市民のマラソンや自転車競技、聖火リレーへの参加など、老いも若きも、観客も選手も、誰もがパリ2024の大胆でクリエイティブなスポーツの祭典に積極的に参加できる新しい取り組みを計画し、現在その実施に向けて着々と準備を進めているところです。

パリ2024のエンブレムは「人間」で、それは「人と人との繋がりの重要性」を意味しているんです。ですから、パリ市内だけではなく、フランス国内の至るところで開催される、この壮大でクリエイティブなスポーツの祭典を、ただテレビを通して観戦するだけではなく、誰もが実体験できる、よりオープンな参加型の大会にしたいと考えています。
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また、歴史上初めて、オリンピックとパラリンピックが同じエンブレムを使用するという画期的な決定により、パリ2024・オリンピック及び、パラリンピックが同じビジョンとチャレンジを共有するという、明確なメッセージを発信している点も、私たちの新しい試みです。

経済的な機会も開かれた大会に


──まさに「サステナビリティ」「インクルージョン」という大会コンセプトが計画の一つ一つで表現されていますね。

さらにもう一点だけ、新たな観点を加えるとするなら、企業、地域経済との繋がりです。

先ほども少し触れましたが、パリ2024は持続可能で有用な、大会後のレガシーとなる投資を優先しています。この投資や調達においても、さまざまな企業、特に中小企業、社会事業者にも開かれた大会として機能します。パリ2024の契約の50%以上を中小企業が獲得するという指標を掲げ、ムハマド・ユヌス教授や経営者団体とも協力して、サポートプログラムを提供しています。これはフランスで開催されるスポーツイベントとしては初めての革新的な措置です。

そして皆さんよくご存知の通り、オリンピック・パラリンピックにはパートナー企業から数々のサポートが提供されていますが、パートナーたちは、ワールドワイドパートナー(IOCのトップ・プログラムのメンバー)も、フランス国内のパートナーであっても、パリ2024大会の開催と成功に不可欠な役割を果たします。

責任ある持続可能な大会を開催するために、それぞれの知識や専門性を共有し、パリ2024のビジョンのアンバサダーとして、それぞれのエコシステム(従業員、顧客、サプライヤーなど)を動員し、プログラムに全面的に参加しています。


(c) Paris 2024
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インタビュー・編集=谷本有香 文・翻訳=賀陽輝代 企画コーディネート=宇藤智子

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