東京2020とは何が違う? エスタンゲ会長に聞く「パリ五輪とD&I」

パリ2024組織委員会会長のトニー・エスタンゲ氏(写真:高橋誠/アフロ)


──概要を伺っただけでも素晴らしいコンセプトを掲げる大会になると感じさせてくれますが、3年後に向けた準備と現状について、少しお話ししていただけますか?

東京オリンピック・パラリンピックを終え、今まさに私たちの手にバトンが渡されました。まず最大の特徴の一つとして挙げられるのは、地域住民が本当に必要とし、大会後もレガシーとして残る競技施設のみを新たに建築し、95%は既存または仮設のインフラを最大限に活用する「持続可能で有用な」「都市にやさしい」大会にするという提案と実行です。

メイン会場として使用するフランス最大のスタジアム「スタッド・ド・フランス」やテニスの全仏オープンの会場としておなじみの「ローラン・ギャロス」、パリ・サンジェルマンのホームスタジアム「パルク・デ・プランス」など、大規模イベント開催の実績がある会場ももちろん活用します。

持続可能性の追求は、パリ2024の重要な大会コンセプトです。「地球環境にやさしい」大会を目指し、パリ協定に基づいて開催される最初の大会として、前の大会と比較して二酸化炭素排出量を50%削減することを約束して開催される大会でもあります。


(c) Paris 2024

──エッフェル塔のふもとにオープンした「シャン・ド・マリス・アリーナ(グラン・パレ・エフェメール)」もサステナビリティの観点で建てられた仮設の建築物なのですよね。

この建物は持続可能な木造構造の仮設建築のモデルとされ、大会終了後に解体して再利用することができます。オリンピックの柔道とレスリング、そしてパラ柔道と車いすラグビーが開催される会場です。


(c) Rmngp/Wilmotte&Associes/Paris 2024

──そして、パリのランドマークとも言える「グラン・パレ」「エッフェル塔」「コンコルド広場」「ヴェルサイユ宮殿」などに会場が設置される、とても美しくて印象深い大会になりますね。

「社会に開かれた大会」で「より多くの人々と大会を共有すること」を目指し、従来のスタジアムから街の中、あるいはフランス各地へ飛び出して、歴史、文化、さまざまなものを融合して、これまでにない大会をパリで実現する。オリンピックに革新をもたらすことを考えています。競技だけでなくイベントやセレモニーも都心で、開会式をセーヌ川で行うことも計画しています。


(c) Paris 2024
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インタビュー・編集=谷本有香 文・翻訳=賀陽輝代 企画コーディネート=宇藤智子

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