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朝日新聞外交専門記者


自民党関係者によれば、菅氏も、相手と何度か会って気心が知れてくれば、十分コミュニケーションを取ることができる。ただ、米国の場合は政権交代があった。バイデン新政権が外交政策の見直しを終えたのは今年春だった。菅氏の在任中、米国の駐日大使は不在のままだった。新型コロナウイルスの感染拡大で外遊もままならない。菅氏にとって不幸な状況が重なってしまった。

もちろん、米国側の「コウノさん人気」は、別に人柄に惚れ込んでいるから、というわけではない。米政府の元当局者は「米国の希望や要求をすぐに理解してもらうためには、コミュニケーション能力が重要だからだ」と語る。

元当局者は、「キシダさんはジェントルマン」と人柄を高く評価する一方、これも個人的な感想と断ったうえで「彼は広島出身だから、米国の核政策と一致しない点もあるのではないか」と語る。

核兵器の使用や保有などを法的に禁ずる核兵器禁止条約を巡り、当時外相だった岸田氏はオブザーバー参加など、何らかの形で関与する方法を模索したい考えだったようだ。結局、米国による「核の傘」を無視するわけにはいかず、日本政府は2017年3月の条約交渉会議で反対の意見表明をするという形で、会議に一度は出席するという道を選んだこともあった。当たり前だが、米国としては「米国の言うことを素直に聞いてくれる人が良い」ということなのだろう。

でも、米国が今、一番心配しているのは、河野氏であろうと岸田氏であろうと、次期政権が短命で終わる事態だ。米国の外交に関係する知人たちは、2006年9月に始まった第1次安倍政権から2012年12月に終わった野田政権までを「日米暗黒の時代」と呼ぶ。この6年余りの間に登場した首相は6人。1人あたりの平均在任期間がわずか1年程度だった。元米当局者は「日本側が米国の要請を理解してくれても、それをやり遂げるまでには手順と時間がかかる。あの頃は、両国間の政策調整が大変だった」と語る。

新型コロナウイルスの感染拡大がいつ終息するのかは、まだ誰にも見通せない。自民党のベテラン議員は「誰が首相になっても、早晩、支持率の急降下を味わう羽目になるかもしれない。来年夏の参院選までしか続かない可能性だって十分ある」と語った。

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文=牧野愛博

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