コージ・スピリッツがグローバルになる日
タカミネ・ウイスキーの誕生には、日本のスピリッツ(蒸留酒)に惚れ込んだふたりのアメリカ人、クリストファー・ペレグリーニとスティーブン・ライマンのチームもかかわった。ふたりの麹への熱い思いが篠崎とのコラボレーションにつながり、高峰の夢が実現したというわけだ。
「麹を使った発酵によって、日本独特のうまみのあるスピリッツができます」とペレグリーニは言う。ビールやワインの醸造では、まずデンプンを糖分に変え、次にその糖分をアルコールに変えるが、麹を使った発酵ではこのふたつの工程が一度に行われるため、うま味のもとになるアミノ酸がビールの8倍、ワインの3倍含まれるようになるという。
ペレグリーニは、日本の麹を使い、匠の技でつくられたスピリッツをアメリカの消費者に届けることを使命として、2020年3月にホンカク・スピリッツ(Honkaku Spirits)を設立。ライマンはブランドのアンバサダーとして参加している。
ホンカク・スピリッツはタカミネ・ウィスキーの成功に続き、2021年7月にはショーチュー(焼酎)のコレクションも追加した。製品はすべて代々続く小規模な蔵元が手がける。
ホンカクは6つの蔵元と提携しており、今後、品質にこだわりながら品ぞろえを4倍に増やしたい考えだ。「いつか、アメリカのどのバーでも、麹を使ったおいしいスピリッツを楽しめる日が来るのを願っています」とライマンは語っている。