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認知バイアスが交渉に影響


心理学の分野では、人が誰しも持ち日常生活に影響を与える多数の認知バイアスや経験則が特定されている。これらの多くは、生物学的・社会学的進化の一環として正当な理由で形成されてきたものだ。だが、現代の世界には当てはまらないことも多い。

レイトは「私たちは1970年代から『根本的な帰属の誤り』について理解していたのに、どういうわけだかその理解は浸透しておらず、あらゆる社会的交流に影響している」と指摘している。

「根本的な帰属の誤り」とは、ある人の行動を外的要因ではなく個人的な特性と結びつける人間の傾向のこと。例えば、店のカスタマーサービス担当者から払い戻しを拒否された人はその理由として、この担当者が不親切な人だからだと考え、相手が店の厳格な規則に従わなければならなかったとは考えない。同じことが交渉にも言える。

「私たちは、ある人の行動がその人の性格を反映していると考えがちだが、自分に対して優しくするのと同じく、周囲の人々にも優しく接しなければならない」とレイト。「相手の機嫌が悪いとき、それが相手の性格ではないことを理解すること。あなたは時に、嫌なことが起きる日もあり、それは相手も同じだ」

交渉の訓練の重要性を理解する


交渉の才能を生まれつき持っている人はいない。訓練をすれば、誰でも交渉スキルを向上できる。「交渉上手な人の資質を突き詰めて考えると、自分が欲するものを特定し、交渉に備え、自分の要求を伝え、その要求をきちんと説明・補強できることがある」(レイト)

大半の人には交渉力が自然に備わっており、成長するにつれその能力が失われるという考え方もある。子どもが親に夜更かしやお菓子をねだる場面を考えてみれば、それも理解できる。この能力を、交渉の訓練により取り戻し、自信につながる知識で補強しよう。例えば交渉における人間関係を理解したり、基盤となる手順を作ってそこから拡大させていったりすることができる。

心の中の交渉者を解き放つ


交渉は一握りの人のみが習得できるスキルだとか、一種の「アート」だと考えている人は多い。交渉を代行するプロを雇った方がよい場合も確かにあるものの、多くの人には必要な交渉スキルが既に備わっている。あと10分だけゲームをしたい子どもであれ、昇給を欲している従業員であれ、自分が何を求めているか、自分がどんな議論を展開できるか、そしてどのような状況でそれを要求しているのかを理解する必要がある。

誰もが、自分の中に内なる交渉人を秘めている。必要なのは、ちょっとした知識と理解、そして最初の一歩を踏み出す勇気だけだ。

編集=遠藤宗生

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