パンデミックの影響で、若者の摂食障害が増加

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最近行われた複数の調査で、非白人の低所得世帯に多く見られる「食料への不安」が、摂食障害の重要な指標になる可能性が示唆されている。それを踏まえると、摂食障害治療を阻む金銭的な障壁は、とりわけ大きな意味を持つ。

不規則な食習慣と食料不安の関係について、成人に関して調べた複数研究のレビューでは、食料不安は、「ドカ食い」や体重抑制、過食症と関連性があることがわかった。この分野の研究はまだ始まったばかりだが、子どもや青少年のいる世帯における食料不安が倍増したパンデミックという状況下では、その関連性が及ぼす影響は甚大だ。

ノースカロライナ大学チャペルヒル校「摂食障害のためのセンター・オブ・エクセレンス」の教授で心理学者のクリスティーン・ピート(Christine Peat)博士は、自身が担当する患者に、食料不安の影響を見てとっている。「私のところに来る患者たちは、こんなふうに言います。『食料が不安定な家庭で育ったから、月のはじめにSNAP(補助的栄養支援プログラム)のフードスタンプが給付されると、ほとんど反射的にパターンに陥って、目についたものはなんでも食べてしまいそうになります。次にまたいつ食べものが手に入るか、わからないから……』と」

こうした関連性から、食料事情が不安定な低所得世帯の人は、摂食障害になるリスクがとりわけ高い一方で、治療にアクセスできる可能性は低いのが現状だ。こうした状況を、パンデミックがいっそう悪化させている。

新型コロナウイルス感染症は、現行医療制度のなかに存在する数多くのメンタルヘルスの傾向や格差をあらわにしている。摂食障害を抱える青少年の数が増え続けているいま、治療システムのそうした欠陥を認識し、精神医療のニーズ拡大に対応できる政策転換や保険モデルを求める責任は、私たちの肩にかかっている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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