コロナ禍のために、今年はオンラインシステム「oVice」を用いての開催となったが、セッションをただ視聴するだけでなく、参加者同士がバーチャル上でアバターとなり交流する様子も見られた。
計50のさまざまなセッションが行われたが、ここでは、「日本人が海外企業に投資して成功するためのTIPS」と「地政学を考慮した中国・香港・台湾・シンガポールとのビジネスの付き合い方」の2つについて振り返る。
どんな「色」がついたお金を受けたいか
まず「日本人が海外企業に投資して成功するためのTIPS」のセッション。「新興国の企業や海外企業への投資に興味がありつつも、成功するためのポイントは?」という疑問を解決すべく意見が交わされた。
登壇したのは、マーキュリア インベストメント代表取締役の豊島俊弘、ジャフコグループ常務取締役の渋澤祥行、レオス・キャピタルワークス株式戦略部シニア・ファンドマネージャーの高橋亮。モデレーターはシルバーレイ・キャピタル代表取締役社長の中野光陽だ。
豊島が海外投資について次のように話の口火を切った。
「お金には『色』がある。誰のお金でも受け取りたいわけではなくて、そのお金にプラスアルファで何があるのかが、成功するためには問われます。この人たちに損をさせちゃいけないと思ってもらうには、技術や知識、事例、人脈など、プラスアルファのものを提示することが必要です。自分たちの働きによって投資先を幸せにできるものをもっていなければ、海外投資は成功しないと思います」と言う。
渋澤もファウンダーと投資家は「選び選ばれる関係」であることを強調した。
「投資は、最後は人と人です。自分だったらどういうベンチャーキャピタルから出資を受けたいかをまず考えます。お金にどのような色をつけることができて、他の投資家と差別化することができるのか。私が目指すベンチャーキャピタリスト像は、相手の事業の話をすぐに理解して、1秒でビジョンメイキングができる、迅速に決定が出せる投資家です。『What is next』を毎日自分に問いかけ、目先の流行りに左右されないメガトレンドを見極められるようにすること。そのための自己規律をもつことが重要です」
高橋は現況の外国株投資はチャンスに恵まれていると語った。
「これまでは情報がきちんと取れる市場にお金が集まる状態でした。しかし、いま取引と言語のハードルが下がっていることで、日本人は英語圏の人々と同じフィールドで戦えるようになっている。実際アメリカ株への参戦もかなり増えています。外国株投資はいま民主化されているので、あとはやるかやらないか、みなさんのご判断に委ねられています。いろいろな企業を見て、見極め方を自分のなかで養うことが最大のTIPSだと思います」