子どもの新型コロナ後遺症について親が知っておくべきこと

Sarah L. Voisin/The Washington Post via Getty Images

従来株に比べてはるかに感染力が強まった新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」によって、米国では多くの小児病院が、感染した子どもたちであふれている。同時に、軽症で済んだ子どもたちでも後遺症に悩む可能性があることが、より明確に示されるようになっている。

実際のところ、感染後に後遺症が残るかどうかは年齢に関係がなく、症状の程度にもあまり関わりがないとみられている。こうした中で親たちには、子どもの感染と後遺症への対応について、知っておくべきいくつかのことがある。

パンデミックの発生当初、後遺症の主な症状として挙げられていたのは、倦怠感、筋肉や関節の痛み、頭痛、不眠、呼吸障害、動悸などだった。だが、現在ではその症状は、胃腸障害、吐き気、めまい、発作、幻覚、陰嚢痛など、100種類ともそれ以上ともいわれている。

医師である筆者が患者から直接聞いたところでは、「感染から3カ月がたっても、まだ常に胸が痛い」「(実際にはないにおいを感じ取る)異嗅症を発症した」「感染から6カ月たっても、糞便などの嫌なにおいだけしか分からない」といったものがある。

だが、最も訴える人が多いのは、ブレインフォグ(脳の霧:思考力や集中力の低下など)と倦怠感のようだ。これらの症状が出るのは、脳の炎症が原因ともいわれている。感染後にうつ病を発症する人がいることは、脳の血液脳関門にも炎症が起きる可能性があるためともされている。

後遺症についての調査結果


英ニューサイエンティスト誌に2021年2月に掲載された記事によると、子どもの後遺症について行われた初期の調査(2020年3~11月にイタリアで感染した129人が対象)の結果では、感染した6~16歳の子どもの半数以上に、120日以上にわたって少なくとも1つの症状が続いていたことが確認された。さらに、42.6%に、日常生活に支障をきたすほどの症状がみられたという。

ただ、その後の複数の調査結果では、子どもに後遺症がみられる割合は、これほど大きくはないとされている。英国国家統計局が6月に公表したデータでは、2~11歳の子どものうち、感染の確認から5週間以上が経過しても症状が続いた子どもは、およそ10人に1人だった。
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編集=木内涼子

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