切手を貼って返事をマツ。香港発「ゆっくり文通」アプリが世界で人気

レビュー数1万件超えのペンパル・アプリ「SLOWLY」


「SLOWLY」は匿名のアバターで会話をする。かわいいイラストで自分のアバターを作って、自己紹介と興味のあるトピックを登録する。相手の顔が見えないので、プロフィールをじっくり読んで、どんな手紙を送るか長く悩む。そうやって時間をかけて悩んだ末に手紙を送り、ドキドキしながら返事を待つ。

誰かが自分に手紙を送ると通知が来るので、メッセージが到着するまでの間、どのような内容なのか楽しみに待つのも一興だ。特に、ブラジルやチリのような遠く離れた場所から手紙が届くとなるとその分待ち時間も長くなり、地球の裏側から手紙が届くという不思議な気持ちと、期待が高まる。

切手を集められるのもハマるポイント?


また、いろいろな国の人と会話すればするほど切手を集められるのも「SLOWLY」の魅力的な点だ。国ごとに有名な場所やモノをイメージした切手があり、手紙を送るときに必ず貼りつける。日本は東京タワーや浅草の雷門、大阪城などのデザインがある。

筆者も韓国に住む相手から手紙が届いて、昔訪れた、ソウル「景福宮」の切手が貼られていたときは、懐かしくてうれしかった。切手は、5か国以上の友達をつくる、100人に手紙を送るなど、いろいろな課題をクリアするたびに増えていくので、積極的に使いたくなる。


SLOWLY 公式HPより

アメリカに住むAさんは、新型コロナウイルスが終息したら、日本を訪れて茶道をしてみたいという。オーストラリアに留学中の中国人Bさんは、ロックダウンで思うように外出できず、友達作りとホームシックに悩んでいた。筆者が留学していたときの話を交えながら、陰ながら応援していると手紙にしたためた。興味のあるドラマが似ているチリ人のCさんとは、最近観た韓国ドラマの話で盛り上がっている。

返信のスピードに囚われず、ときには真剣な話をして、ときには趣味の話に花を咲かせる。これがまさにペンパル・アプリの魅力ではないだろうか。

「離れていても、心は繋がっている」を実現する


SLOWLYのコンセプトは「全世界と繋がろう」である。新型コロナウイルスが流行して以降、海外へ旅行するのが難しくなった。ロックダウンや感染爆発、変異株の出現などの先行きが不透明で不安になるニュースが目立つこの頃。「SLOWLY」は「離れていても、心は繋がっている」を実現するのに非常に良いコミュニケーションツールだ。「SLOWLY」特有の遅さにはじめは違和感を覚えるかもしれないが、代わりに私たちが忘れかけていた、どこか懐かしいアナログな感覚を取り戻してくれる。

速さが重視されている時代にあえて「遅さ」を求め、地球上の誰かと繋がる「SLOWLY」。常に周りの目にさらされ、スピード感のある日常生活に息苦しさを感じる現代人に、必要な安らぎを与えてくれるかもしれない。

文=アステル 編集=石井節子

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