ビジネス

2021.09.03

金融と流通に革命を起こす「リップル効果」

AlekseyIvanov / Shutterstock.com


日本では、FXcoinが住友商事と組んで、住友商事グループ会社間の債権・債務をXRPを用いて決済する実証実験を行い、暗号資産が企業内財務管理の効率化に寄与することを示した。また、SBIホールディングスが株主優待としてXRPを贈呈したり、eSportsプレイヤーの報酬の支払いにXRPを使うなど、ユニークな活用例も見られる。

シリコンバレーの企業もXRPを活用している。例えば、「コイル」はコンテンツ収益化のためのXRPを活用したストリーミング決済を提供。クリエイターは読者・視聴者から直接秒単位でお金を受け取ることができ、広告収入や定期購読以外のマネタイズの道が拓けた。また、「フォルテ」はXRPレジャーを基盤にゲームプラットフォームを構築し、ゲーム内外でポイントやアイテムを交換・決済できるゲーム経済圏を構築している。

インターネットのおかげでビジネスのグローバル化は加速した。しかし、いまだサイロ化された従来型の国際送金の仕組みが企業や消費者の足を引っ張っている状況だ。インターネット由来の暗号資産の活用により、真にグローバルなビジネス展開が可能となり、また新たなビジネスモデルを生み出すことができる。その可能性にいち早く気づいた企業が、暗号資産の世界に果敢に挑んでいる。

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ポルトガルでは年間約470億kWhの電力を消費する。ビットコインは1億件ごとの取引処理に951億kWh分の電力を消費。ポルトガルの2カ国分の電力を消費している。これは、法定通貨の現金の取引処理にかかる電力消費量の200倍以上だ。その点、XRPはビットコインの12万分の1程度の消費量で済む。SOURCE:xrpl.org

インターネットが登場した時は、そのインパクトに気づかずに乗り遅れた日本企業は多かった。今、ブロックチェーンが生み出す新たな波である「価値のインターネット」の時代の幕が上がろうとしている。この新たな波には乗り遅れないよう、日本の企業にはぜひ前のめりで挑んでほしい。


吉川絵美◎米リップルのコーポレート戦略担当バイスプレジデント。マネータップ取締役。京都大学の特任准教授を務める。ハーバード・ビジネススクールMBA取得。Forbesjapan.comで連載中。

文=吉川絵美

この記事は 「Forbes JAPAN No.083 2021年7月号(2021/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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