日曜の夜を平常心で過ごす「睡眠のコツ」|元アマゾン産業医の相談室 #5

連載「元アマゾン産業医の相談室」 サムネイルデザイン=高田尚弥

世界最高峰の企業、アマゾンジャパン、エクソンモービルなどで超多忙なビジネスパーソンたちの心をプレッシャーから守る任を負い、多くの社員と面接をしてきた産業医の鈴木英孝先生が、連載で「自分の心を守りながらパフォーマンスを上げる方法」を考える。

5回目の今回は、月曜日から長い1週間が始まることの多いビジネスパーソンが心得ておくべき、「週末の過ごし方」にまつわる知恵を教えていただいた。

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「朝に太陽光を浴びる」ことの大切さ


コロナ禍でテレワークが長期間続いていますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。テレワークでは、オフィス出社時と同じアウトプットを期待することは難しいと感じている人も少なくないと思います。テレワークのメリットを共有しつつ、そのデメリットを受け入れながら、チーム全体で成果を上げるための方策を考えることが大切です。「変化に柔軟」であることがテレワーク成功への近道であると感じています。

さて、テレワークをされている人からは、「今日は一回も外出しなかった」とか「今日は一日中家にいた」などの声を聞きます。その中で、睡眠の質の低下を訴える人が少なくないことがわかりました。今回はテレワークと睡眠の関係を中心に、「日曜の夜を平常心で過ごす」ためのヒントを解説します。

地球は約24時間の周期で自転しているため、1日は24時間となります。その一方で、人間の体内時計(身体の概日リズム)は24時間+α(αは10〜45分と個人で異なる)の周期といわれています。そのため社会的な制約を受けずに自然に任せていると、身体のリズムと時計の間は、毎日1時間弱の「ズレ」が生じてきます。睡眠を例に取ると、夜中の0時に眠たくなって入眠した翌日は、午前1時頃に眠気を感じ、さらにその翌日には午前2時に眠気を感じるようになる、というように、毎日1時間弱ずつ眠気を感じる時間が遅れていきます。

この1時間の「ズレ」を調整するために、太陽光が重要な役割を担っています。私たちは朝に太陽光を浴びることにより、1時間の「ズレ」をリセットできるのです(下図)。しかし、それには細かい条件があるので、この点を詳しく説明します。


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文=鈴木英孝 編集=石井節子 写真=帆足宗洋

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