ビジネス

2021.08.31

「史上最大の詐欺会社」セラノス創業者の裁判がついに開始

セラノス(Theranos)の創業者エリザベス・ホームズ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)


一世を風靡した起業家の転落


ホームズは、2003年にスタンフォード大学を中退し、「少量の血液で200種類以上の血液検査を迅速かつ安価に出来る」というふれ込みで、医療ベンチャー企業セラノスを創業した。同社は一時、シリコンバレーで最も注目を集めるスタートアップとなり、評価額は90億ドル(当時のレートで約1兆円)まで跳ね上がった。

しかし、2015年になってセラノスの血液検査装置に、同社が主張するような機能が無いことが発覚した。ホームズは、その当時交際していたセラノスのサニー・バルワニとともに起訴され、同社は2018年9月に解散した。

元米連邦判事でハーバード大学法科大学院の上級講師を務めるナンシー・ガートナーはCNNに対し、「裁判の中心となる問題は、陪審員たちがホームズが自分のやっていたことを知っていたと信じるかどうかだ」と述べた。「彼女が持っていたデバイスが、絶対に動かないものだったのか、それともまだ開発途上のものだったのかという点も争点になる」とガートナーは話した。

さらに、今回の裁判をより複雑にしているのは、最も重要な証拠になり得たはずの、数百万件のセラノスのラボの検査情報が入ったデータベースが消えたことだ。セラノスは、2018年7月にデータベースのコピーを政府に渡したが、その後、データベースを格納していたサーバを解体し、データベースを削除していた。

ホームズの弁護団はその後、不正確な検査結果の原因となったデータが失われたことを理由に、裁判で患者の証言を除外すべきだと主張している。

編集=上田裕資

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