普及が進むオーガニックワイン、その未来は?

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オーガニックワインの未来を予想するのは簡単に思えるかもしれない。欧州では有機栽培が着実に増加し、小規模の生産者や有名なボルドーのシャトーも有機に転向。消費者の間での人気は高まり、買い付けの値段も上がっている。これが今後続かない理由はあるのだろうか?

この傾向が今後も続くことを示唆するものは多くある。本稿ではフランスと欧州に主に焦点を当てるが、他の地域の状況もおそらく似通っているはずだ。

欧州の有機ブドウ畑の面積は、2012年にはわずか5%余りだったが、それから10年近くで13%に増加。以前は多くの消費者がオーガニックワインに懐疑的だったが、今ではオーガニックワインは販売店で当然のように宣伝されている。

欧州、そして世界でオーガニックワインの生産が最も盛んなのはイタリアで、ワイン生産地の16%以上が有機認証を受けているか、有機栽培への転向途中にある。フランスとスペインでは13%余りだ。仏ラングドック地方を代表するオーガニックワイン生産者の一人であるジェラール・ベルトランは、フランスのブドウ畑の50%が10年で有機栽培になると考えている。これは妥当な推定だろうか?

私は有機栽培がそれほど急速に普及するとは思わないが、現在のペースが続くことを示唆するものは多い。ただ、これには疑問点もある。

一般的な消費者が近い将来、ワインの有機栽培を要求するようになるかと聞かれれば、私はそうは考えない。しかし、消費者が生産者側に何らかの環境保護の取り組みを求めるようになることはあり得る。しかし、消費者にとってはサステナビリティー認証で「十分」かもしれない。

有機認証を継続普及させる最大の障壁がサステナビリティーとなることは大いにあり得る。

多くの国やワイン生産地は、サステナビリティー認証に多額を投資している。サステナビリティー認証が、有機認証から「市場シェア」を奪うリスクは確実に存在する。持続可能性の達成は有機栽培ほど厳格ではなく、有機よりも簡単な面もある。生産者は合成殺虫剤の使用を続けることができ、自分のペースで改善に取り組みつつも、顧客には環境保護の取り組みをアピールできる。

一方で、有機農法は、もうかる商売だ。消費者はオーガニックワインに高い料金を支払うことをいとわないため、有機農法に転向する生産者は今後も増える可能性が高い。しかし、買い付け価格の高さはボルドーなど一部地域のオーガニックワインが不足していることが理由かもしれない。ボルドー産オーガニックワインが増えても、高い価格は維持されるだろうか?
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編集=遠藤宗生

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