パンデミックで症例増加 メンタルヘルスが公衆衛生の必須項目に

メンタルヘルスの課題にアプローチを(Shutterstock)


セルフケアを充実させることは、より多くの人が医療を受けられるようにすることでもあります。パンデミックの影響でデジタルトランスフォーメーションが進んだことで、インターネットプラットフォームは、自立したセルフケアを可能とする重要な手段となりました。

人々はインターネット上でメンタルウェルネスを含む自分の健康状態について詳しい情報を得る、支援を求める、選択肢を検討する、また解決策を学ぶことができます。インターネット上のこれらの新しいチャンネルは非常にアクセスしやすく、文字通りすぐに情報を得ることができます。臨床現場のリソースを奪うことなしに健康管理、そしてセルフケアを効果的に実施する機会を人々に提供することができるのです。

医療におけるオンライン診療を含めた遠隔診療の発展、オンライン薬局によるクリック&コレクトや宅配サービスの進化によって、薬剤師は健康カウンセラーとしての役割を果たす公衆衛生の中心的存在となりつつあります。メンタルヘルスの問題を抱える人が最初に接するのが薬剤師となる可能性が高いことから、こうしたサービスを拡大していくことが求められています。すべての人のためのメンタルヘルスを世界的に実現していく上で薬剤師が果たせる役割は大きいのです。

セルフケアのみですべての症状に対応できるというわけではありませんが、それでも検査を行い、専門家が早期に介入すれば、大きなトラウマの後に深刻な状態に陥らないようにできるということが、複数の研究で分かっています。この分野の「消費者リテラシー」を強化するためには、政府、業界、患者団体がそれぞれが役割を果たし、同時に個人が強力な自身の擁護者となることが重要です。

メンタルヘルスのリスクを認識することは重要ですが、それに加えて症状を特定し、セルフケアを行う勇気を持ち、適切な解決策を講じる必要があります。新型コロナウイルスの感染拡大が収束後も、私たちの前に立ちはだかるメンタルヘルスの課題は、団結することで解決していくことができます。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Julie van Ongevalle, Executive Vice President, Consumer Healthcare, Sanofi

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