中国・武漢のコロナ感染者、入院した半数にいまだ後遺症

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専門家らは、ワクチン未接種の人(特に若年成人、ワクチン接種ができない年齢の子ども)の間で、感染力が強まった変異株「デルタ株」の感染が急速に広がっていることについて、これらの人たちが重症化したり死亡したりする可能性は比較的低いとしても、後遺症に悩む恐れはあるとして、その危険性について警告している。

さらに、ワクチン接種を完了した人でも、その後に起きる「ブレイクスルー感染」の危険性がある。

現代の医学が直面する最大の課題


武漢での調査は限られた規模と範囲で行われたものだが(入院した患者のみが対象)、感染の長期的な影響が特に懸念されるという結論は、その他の研究結果と一致している。

ランセットに発表されたこの論文のエディトリアル(編集者の見解を記すエッセイ)は、「世界中の何百万人もの人たちを衰弱させる可能性がある」として、後遺症に関する理解を深める必要性は「さらに緊急性を増している」と強調している。

また、「後遺症を発症しているかもしれない数百万の人たちを特定してケアするための、効果が実証された治療法も、リハビリ方法に関する指針も、適切なシステムもない」として、次のように指摘している。

「医療費負担の増加や経済的損失、生産性の損失といった社会への影響は、相当のものになる。新型コロナウイルス感染症の後遺症は、現代の医学的が直面する最大の課題だ」

また、論文の著者の一人、北京にある中日友好医院の臨床医学研究所のXiaoying Gu医師は、「回復から6カ月よりも1年後に精神的症状を訴える人が増える理由は分からない」としつつ、原因としては「ウイルスそのもの、体の免疫応答、社会的接触の減少と孤独」などが考えられると述べている。

後遺症と健康への影響に関する理解を深めるためには、回復した患者たちについての「大規模かつ長期的な研究」が必要だという。

編集=木内涼子

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