中国・武漢のコロナ感染者、入院した半数にいまだ後遺症

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中国・武漢で2020年1~5月に新型コロナウイルスに感染、入院した1276人のその後の健康状態について調査した結果、多くは感染から12カ月がたっても、以前の状態に戻っていなかったことが分かった。

医学誌ランセットに発表された査読済み論文によると、調査対象とした患者のほとんどは、感染して入院、その後に回復している。だが、およそ1年がたっても、半数近く(49%)に少なくとも1つの症状があった。倦怠感と筋力の低下を訴える人が多く、20%がこれらを報告していた。

また、患者のおよそ30%に息切れの症状があり、このうち胸部CTスキャンと肺機能検査を受けた患者の相当数に、肺の異常や機能障害が確認された。肺機能に障害があった人たちは治療を受けて6カ月がたっても、改善がみられていなかった。

これらの問題が特に目立ったのは、入院中に人工呼吸器を必要とした患者たちだ。54%に肺機能障害、87%に(CTスキャンの結果での)異常が確認された。一方、人工呼吸器の助けが必要な状態にならなかった患者のうち、肺機能障害と異常が確認された人は、それぞれ23%、39%だった。

この研究ではその他、感染から12カ月後の時点で、26%に不安障害またはうつ病を発症していたことが分かった。6カ月後にこれらの症状があった人の割合と比べて、3ポイント増加していた。



不明点が多い後遺症


感染した人の中に、症状が長く続く人とそうではない人がいる理由は、今のところ分かっていない。ただ、これまでの調査から、長期にわたって続く症状(新型コロナウイルス感染症の後遺症)として、200を超える種類が報告されていることが分かっている。

これは、この感染症が単なる呼吸器の病気ではなく、全身に影響を及ぼすものであることを示している。中には感染から数週間後、または数カ月後になって現れる症状もある。また、後遺症のリスクは、感染した時の症状の重さや、患者個人のリスク要因(年齢など)とは、それほど強い関連性はないとみられている。
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編集=木内涼子

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