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フォーブス ジャパン ウェブ編集部 エディター


戸邊氏は、日本にまだデリバリープラットフォームがない2014年頃、ニューヨークやサンフランシスコでUber Eatsに出会い、衝撃を受けた経験がある。マーケティングからオーダー集約、ピックアップ、配送という盤石のプラットフォームが可能にした完全分業化。厨房は以前より「料理を作ること」に集中できるようになっていた。

飲食業界には、経営手腕と料理の技術、その両輪を兼ね備えた人材は少ない。戸邊氏はUber Eatsとの出会いから、「料理人には料理に集中してもらい、経営の面からのサポートをしたい」と考えるようになった。

2018年には、代表を務めるプロディース会社、アマレーナジャパンを通じて、福岡ソフトバンクホークス運営によるフードホールフロア「The FOODHALL」をプロデュースした。国内のスポーツチームが管理するものとしては初の飲食施設だ。ハワイのステーキハウスによるイタリアンダイニングや多くの受賞歴を持つシンガポール料理店など、日本初上陸の海外の人気店も呼んだ。

「確固たるプラットフォーム構築を目指したことで、料理人の方が経営、企画やプロデュースの心配をせず料理に集中できる環境をある程度作れた」という戸邊氏。これが、シェアキッチン「BeChef」開設につながる成功体験となった。

オーブン、コンロ、フライヤー、冷蔵庫。開業に必要な備品が備わる


「BeChef Shibuya」立ち上げ当時は、実に100件以上の出店希望者からの問い合わせがあったという。入居にあたっては面接をし、調理のプロセスを見せてもらい、試作品を試食した。

「面接では料理の経験や、どんな料理を作りたいかはもちろん聞きますが、『どんな思い』で食べる人に料理を届けたいと思っているかを必ず尋ねます」

デリバリー専門でホールのない店舗でも、キッチンを一から作り、独立起業しようとすれば1500万円からの資金が必要だ。戸邊氏は、その初期コストを負わずに「BeChef」をはじめとするシェアキッチンを利用して、「小さく初め、ヒット商品を生んでから起業する」ことを勧めたいと強調する。



「衛生管理士の資格さえあれば開業はできる。1日数食からなら、歩いて食材調達を済ませ、パッケージやラッピング資材を浅草橋の『シモジマ』などで小ロットで買ってくれば、明日から起業することも可能です」

ただ、デリバリー開始にあたっては、デリバリープラットフォームによるメニュー構成や価格などの審査がある。「まず必要なのは魅力的な商品。とにもかくにも個性的でおいしい商品を開発し、それを同じ質で提供していけるプロセスを構築することが、多額な設備投資よりも先決です」。

文=石井節子

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