米警察がグーグルに位置情報求める「ジオフェンス令状」の怖さ

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ジオフェンス令状は違憲との主張も


「指定範囲には2つの公道が含まれ、指定された時間に現場付近を自動車で通過した人は全て対象に含まれてしまう。また、グーグルマップによると、指定された建物には別の会社が入居しているが、申請書にはそのことが触れられていない」と裁判官は判決文の中で述べた。

かつて、警察はジオフェンス令状によってグーグルから取得したデータに基づき、犯人でない男性を誤って追跡したことがあった。また、別の捜査令状によって1000台の携帯電話からデータを取得したことで、プライバシー活動家の間で懸念が広がった。

電子フロンティア財団で政府による監視に関する訴訟を担当するジェニファー・リンチは、ジオフェンス令状はその性質上、合憲性審査をパスしないと考えている。「それでも警察は全米の犯罪現場でグーグルに同じ要請をしたり、ソーシャルメディア上の情報を探して大手テック企業に2020年に起きた暴動の容疑者に関する情報を提供するよう命令し続けている」とリンチは話す。

「この事例のように、多くの人が合法的な抗議活動を行っていた中でジオフェンス令状を用いるのは特に悪質だ。だからこそ、我々はグーグルが裁判所でこのような違憲の令状を拒否すると同時に、警察に透明性のある説明をするよう呼び掛けている」とリンチは述べた。

警察がブレイクを銃撃してから1年が経った。ブレイクは背中を撃たれて下半身不随になったが、彼を撃った警官は罪に問われることなく、今年初めに復職した。一方、この事件に対する抗議活動中に3人を銃撃して2人を死亡させたカイル・リッテンハウスの裁判は現在も行われている。リッテンハウスは、無罪を主張している。

編集=上田裕資

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