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私は同僚でもある友人に1カ月ほど前、彼女が司会を務める会議での講演を頼まれた。私にとって彼女は大事な友人なので本当はとても承諾したかったが、承諾すれば、1年前に夫と予約し楽しみにしていた休暇を延期しなければならなかった。

私は本心では、依頼を受けられないことを知っていた。

それでも私は、返事を数週間保留した。私は自分自身を説得しようとしていたのだ。「彼女はあなたのためにいろいろしてくれたのに、彼女の頼み事一つも受け入れられないのか?」「とりあえず承諾して、やってしまえば問題ない」と自分に言い聞かせたが、これらは全てしっくりこなかった。私は断らなければならないことを知っていたのだ。

彼女にこのことを知らせると、彼女は非常に親切に、その考えを変えないようにと言ってくれた。また彼女は、私が依頼について熟慮したことに感謝の気持ちを伝えてくれた。私はすぐに、とても安心した気持ちになった。これこそ、私の決断が間違っていなかった証拠だ。

それではなぜ、私はただ断るだけのことにこれほど苦労したのだろう?

断ることが難しい理由とは


まず、人を落胆させたくないことがある。衝突を避けたいのかもしれないし、あなたに頼み事をした相手に恥ずかしい思いをさせたくないのかもしれない。確実に周囲の人に好かれたいがため、あるいはあなたと今後も一緒に働いてほしいために相手の依頼を受け入れるのだ。

コーネル大学のバネッサ・ボーンズ博士(組織行動学)は「私たちは、他者とつながる本能的なニーズを持っている。これは私たちの生存に欠かせないものだ。私たちは、断ることでこうしたつながりが断たれることを恐れている」と述べている。

私たちは、相手が子どもでも同僚でも、拒絶された気持ちになったり個人攻撃と考えたりするのではないかと恐れている。

ボーンズは「断れば、非常に強い後ろ向きな感情が巻き起こる。恥ずかしさと罪悪感だ」と指摘している。

また、受け入れるか断るかの難題にはアイデンティティーが結びついている可能性もある。あなたは自分のことを役に立つ人間、あるいは良いチームプレーヤーだと考えているかもしれない。また自分には多くの仕事がこなせると考えていて、それを誇りに思っている可能性さえある。そのような状況では、あえて「ノー」とは言わないだろう。

米ダートマス大学のキャスリン・ライブリー博士(社会学)は米心理学誌サイコロジー・トゥデーで、女性は人と仲良くしたいがために、なかなか男性を断れない場合が多いと述べている。誰しも良い人になりたいと思っていて、相手の感情を傷つけることを望まず、断れば波風が立つことを恐れている。

しかし断らなければならないと分かっている場合、上記の理由はどれも承諾する十分な理由とは言えない。

翻訳・編集=出田静

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