AnChain.AI の共同創業者でCEOのVictor Fangによると、SECは、スマートコントラクトを基盤としたデジタル資産の動向を注視しており、同社はそれらの資産の動きを分析し、追跡するための技術を彼らに提供するという。
AnChain.AIは、サンノゼに拠点を置くAI(人工知能)と機械学習を用いたブロックチェーンのスタートアップで、暗号通貨取引所やDeFiプロトコル、金融機関における不正行為の追跡に注力している。同社は8月27日、SECとの契約を明らかにすると同時に、サスケハナグループの関連会社であるSIG Asia Investments LLPが主導するシリーズAで、1000万ドルを調達したことを発表した。同社の評価額は開示されていない。
今回の動きは、急速に規模を拡大させているDeFiの動向にSECがさらなる関心を寄せていることを示している。DeFiの運用額は820億ドル(約9兆円)を突破し、最大の分散型取引所Uniswapの24時間の処理額は18億ドルに達しており、その多くがSECが証券と判断しうるトークンで行われている。
さらに、これらのプラットフォームはますます複雑化している。Fangによると、Uniswapのプラットフォームは、3万個のスマートコントラクトの集合体だという。
SECがDeFi分野で初めて大きなアクションを起こしたのは2018年のことで、彼らが違法であると判断したDeFi取引所のEtherDeltaを閉鎖していた。
SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は、8月18日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、DeFiの運営元は「分散型」という言葉を使っているからといって監視の目から逃れられるわけではないと警告した。「彼らはソフトウェアを書いているだけではなく、ガバナンスを行い手数料をとっており、コアグループの中にいるプロモーターやスポンサーはインセンティブを得ている」と、ゲンスラーは述べていた。
予測エンジンで不正取引を検知
SECの委員であるHester Peirceは、3月のフォーブスのインタビューで、DeFiのポテンシャルを認めた上で、これらのプロジェクトの担当者らが、規制当局の調査に協力するべきだと述べた。「DeFiの世界には様々なプロジェクトがあるため、規制は難しい。だからこそ、個々のプロジェクトがSECに相談を行い、個々の状況と事実を説明することが有益だ」と彼は述べていた。
AnChain.AIは、不正行為者に関連するウォレットをカタログ化して監視することに加えて、未知のアドレスや疑わしい取引を特定するための予測エンジンを開発した。同社の技術は、暗号通貨取引所や伝統的な金融機関でも利用されている。
SIGの投資マネージャーのYe Liは、プレスリリースの中で「AnChain.AIは市場をリードする暗号セキュリティ技術を大きく前進させ、規制遵守とトランザクション・インテリジェンスにおける顧客の幅広い需要に応えている」と述べている。
SECはこの件についてコメントを控えている。