ベゾスの宇宙開発企業「ブルーオリジン」は8月16日、マスクの「スペースX」が28億9000万ドル(約3160億円)の月着陸船の製造をNASAから独占的に発注したことが不当だと主張して、NASAを相手取った訴訟を起こしたが、これに続いてアマゾンは、スペースXの別のプロジェクトについて、抗議の声を上げている。
スペースXに続いて衛星ブロードバンドの実現を目指すアマゾンの子会社の「カイパーシステムズ(Kuiper Systems)」は、8月25日、FCC(連邦通信委員会)宛てに抗議文を送り、スペースXが提出した「スターリンク」の打ち上げ計画が、FCCのルールを破っていると主張した。
2019年設立のカイパーシステムズは、スペースXのスターリンクと同様に、宇宙からブロードバンド接続をもたらす、衛星コンステレーションを構築しようとしており、アマゾンはこのプロジェクトに100億ドル以上を投資する計画だ。
カイパーシステムズに先行するスターリンクは、すでに1740基の衛星を運用中で、これに加えて、新たに3万基近くの衛星を追加しようとしている。スターリンクは、新たな打ち上げに際し、2つのプランをFCCに説明した上で、後日、最善なプランを選択すると述べているが、カイパーシステムズはこの申請手法が、ルール違反だと主張。スペースXは1回の申請につき、1つのプランをFCCに提示すべきだと述べている。
ベゾスは要するに、マスクのやり方を快く思っていないようだ。カリフォルニア州のリサーチ会社TMF Associatesのプレジデントのティム・ファーラーは、カイパーが言うことにも一理あると話している。
「スペースXは、2つの想定可能なシステムを説明し、後で選択する許可を求めている。彼らの選択が、アマゾンの独自のシステムに影響を与えることを考えると、彼らが不満を抱くのも無理はない」と彼はフォーブスの取材に語った。
イーロン・マスク(Patrick Pleul - Pool/Getty Images)
マスクは、アマゾンからの抗議を受けて27日に次のようにツイッターで反撃した。「ベソスが(アマゾンのCEOを)引退したのは、フルタイムでスペースXに訴訟を起こすためだったことが分かった」、と。
今のところ、アマゾンの抗議が訴訟に発展する兆候はなく、彼らの抗議文は、単なる苦情と考えられている。カイパーの広報担当者は、フォーブスのコメント要請に応じていない。