資産運用会社バーンスタインのアナリストであるトニ・サコナギの直近のレポートによると、グーグルはアップルのブラウザ「Safari」で、同社の検索サービスをデフォルトに指定してもらうための費用を、大幅に増やしているという。
サコナギによると、グーグルは昨年、この独占権を維持するためにアップルに約100億ドルを支払ったが、2021年の支払額は150億ドル(約1兆6500億円)近くに及ぶ可能性があるという。2017年の支払額は、推定約30億ドルとされており、そこから飛躍的な増加となっている。
サコナギは以前、グーグルが検索エンジン市場でのマイクロソフトの台頭を防ぐために、彼らを上回る額をアップルに支払っていると述べていた。とはいえ、150億ドルという金額はアップルの2021年度の年間粗利益の約9%に相当するほどの巨大なものだ。
2007年にリリースされたiPhoneのデフォルトの検索エンジンは、グーグルだった。しかし、2012年にはマイクロソフトのBingがiOSとmacOSのデフォルトの検索エンジンに採用されていた。そして、2017年には再びグーグルがデフォルトになっていた。
グーグルの巨大な投資は、同社の親会社のアルファベットにとっても価値のあるものになる。自動運転車開発企業のウェイモが黒字を生み出せず、グーグルクラウドが年間5900億円の赤字である一方で、グーグルの広告事業は好調を維持している。
アルファベットは今年7月、グーグルの広告事業の売上と利益が四半期ベースで過去最高に達したと報告していた。
グーグルは、アップルのプラットフォーム上で、デフォルトの検索エンジンであり続けることで、今後も広告市場での覇権を維持しようとしている。しかし、同社はマイクロソフトのBingとの厳しい競争に直面しており、2015年に両社が結んだ「休戦協定」が今年7月に失効したことで、特許訴訟などの法廷闘争が再燃する可能性もある。
サコナギはさらに、アップルが当局の要請により、グーグルをデフォルトの検索エンジンから外すことを余儀なくされるかもしれないという規制上のリスクを指摘した。