暗号資産XRPが実現する国際送金のオンデマンド流動性とは

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これにより、これまで実際の決済に数日を要していた国際送金が、分または秒単位で完結することになる。送金業者は事前のプリファンディングも必要なくなるため、これまでプリファンディングのために滞留していた資金を解放でき、運用コストを下げたり、または解放された資金を事業の成長・拡大のために投下できたりするようになる。

ブロックチェーンによって、決済は送金指示と共にリアルタイムに同期して行われる。まさに「価値と情報が一緒に動く世界」の実現である。

次のグローバリゼーションは「価値のインターネット」


リップル社のビジョンである「価値のインターネット」の実現とは、価値が情報と同じように瞬時にほぼタダで動く世界の実現で、ここで言う「価値」とは法定通貨だけではなく、様々な価値を持つ資産全てを指す。つまり、国際送金はその世界の実現の第一歩にすぎない。

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歴史的に見ると、まさに現代は、グロバリゼーションの3段階目にあると言える。グロバリゼーションの歴史は、「標準化」の歴史であるとも言える。第1段階は1950年に国際貿易の中で「コンテナ」が登場したことによって「モノの輸送」の標準化が行われ、それにより多くの業者が参入し、輸送コストが圧倒的に低くなり、国際サプライチェーンの一大産業が生まれた。

80年代になると、インターネットの登場により、「情報」の世界で標準化が起こった。インターネットが登場する前は、相互運用性のない数多くのデータネットワークが乱立していた。インターネットプロトコル(IP)が普及したことによって、異なるネットワークの間でのデータのやり取りが可能となり、通信コストが格段に低くなった。それによって、さまざまなビジネスモデルが生まれ、インターネット産業は一大産業となった。

20年代以降は、ブロックチェーンによって、今度は「価値」の世界で標準化が起こる。これがまさに「価値のインターネット」であり、異なる資産の価値がリアルタイムに低コストで動くことができる世界の実現である。

我々はまだその世界のほんの入り口にいるが、今後、徐々に社会に浸透し、それによって今は想像もつかないような、新たなビジネスモデルが生まれてくるだろう。この3段階目が普及することで、真の「グローバリゼーション」、つまり、世界の誰もが平等に経済活動を行うことができる世界が実現するのだ。

連載:米国発、次世代金融動向を読み解く
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文=吉川絵美

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