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米国発、次世代金融動向を読み解く


この従来型のコルレス型の仕組みにおいて、送金の指示が来る前に必要な資金をノストロ口座(銀行間取引での資金決済を行なう決済口座)に準備しておく必要がある。これを「プリファンディング」という。

顧客からの資金が手元に来る前にプリファンディングをするために資金効率は悪くなり、また、世界各地のノストロ口座に必要な資金を準備するためのさまざまなオペレーションのコストがかかるため、これらの運用にかかるコストが現在の国際送金コストを高止まりさせている一番の大きな要因だ。さらに近年のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)規制の厳格化によるコンプライアンスコストも高まっている。

国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界金融危機後に世界の大手金融機関で経営の合理化が行われた結果、採算が取れないコルレス契約を次々と打ち切り始めている。それにより特に途上国の送金経路(コリドー)においてはコルレス銀行間での健全な競争が起こりにくくなり、資金の流動性コスト(取引を速やかに行うために必要な資金の調達に関わるコスト)が高止まりしている。この「流動性の問題」こそ、送金業者の最大のペインポイントとなっているのだ。

「流動性の問題」に風穴を開けたのがブロックチェーンである。ブロックチェーンが登場する前は、そもそも価値と情報をリアルタイムに一緒に動かすことが技術的に不可能であった。インターネットそのものはネイティブに価値移転を実行する機能を有していないからだ。

ブロックチェーンによって、分散型合意を通して、中間業者なしに、リアルタイムで価値が移動できる仕組みが初めて世に登場した。さらに、ブロックチェーンはその仕組みから、改ざんが不可能であり、単一障害点がないなどの特徴も兼ね備えている。

暗号通貨XRPを活用した「オンデマンド流動性」とは


このブロックチェーンを国際送金に適用したソリューションとして世界で最も導入されている技術がRippleNetであり、その中で提供されている、暗号資産XRPを活用した「オンデマンド流動性(ODL:On-Demand Liquidity)」がこの流動性の問題を解決する鍵となる。

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ODLによって、送金側の金融機関は、従来のようなプリファンディング(送金先の国の金融機関のノストロ口座に事前に資金を用意しておくこと)なく、顧客からの送金リクエストに応じて、その場その場でオンデマンドに通貨を変換し、送金することが可能となる。最近、日本で提供開始した送金モデルを例とすると、以下のようになる。

1. 送金したい人がSBIレミット株式会社の口座を通じて国際送金の指示を出す。

2. SBIレミット株式会社はRippleNetを通して送金を実行。

3. XRPをブリッジ通貨として、日本側の取引所であるSBI VCトレード株式会社からフィリピン側の取引所であるCoins.phに、パブリックブロックチェーンであるXRP Ledgerを介して送金額が数秒で移動。

4. フィリピンにおいて資金移動業及び暗号資産交換業を営むCoins.phにXRPで届く

5. 届いたXRPがCoins.phにて現地のフィリピンペソに変換され、最終受取人が受け取る。

文=吉川絵美

ブロックチェーン
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