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2021.08.29 11:00

コロナ禍で日本の住宅ニーズに変化 「区分け」よりも「繋がり」重視へ

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冒頭で触れたホームパーティーについて考えてみると、海外では家族以外の人を招いて、新たなコミュニケーションや人間関係を創出する場として、自宅が機能しているのではないかと考えられる。
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日本ではそういった文化はあまり浸透していないようにも思えるが、かつてこの国の家屋には、家族や親戚が集まる大広間があり、屋外と屋内の境が曖昧で近所の人が気安く出入りできるような造りになっていた。日本の家もかつては、人が集まり、そこから新たな交流が生まれる場として機能していたのだ。

縁側
(Shutterstock)

こうした「開かれた家」でなくなった背景には、高度経済成長とともに核家族が増え、ふすまや障子で仕切られただけの連続した空間から、きっちり区分けされたLDKの間取りなどが普及したこともあるだろう。仁木は次のように語る。
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「日本の住宅は、用途に応じていろいろな仕切り方ができる、障子とふすまの文化だったのですね。でもそれはあまり機能が優れたものではなくて、隣の部屋の話し声が筒抜けで聞こえてくる。子どもは大人同士の話を聞いてないようで聞いていて、そこから社会を学んでいたりもした。

いまコロナ禍で在宅ワークが増え、会社の新人が成長しにくくなっているという話を聞きますが、おそらくそうしたことが少なくなっていることも関係しているのではないかと思っています。何気なく聞こえる職場の声だったり空気感や会話を、在宅ワークでは何もリアルに経験しないまま、ただ仕事の知識だけが積まれていくような気がします。

昔、日本の文化のなかには『不便益』がたくさんありました。例えば、家ごとに水道が通っていなかったから共同の井戸に行き、そこで人に会って会話をすることでいろいろな情報を仕入れることができたりした。最近はそうしたことがどんどんなくなっている気はします。やはり、緩やかに繋がっていくような環境づくりや共生感が、家にはとても大事なのではないかなと思います」

仁木は「空間の分断は関係性の分断、物の距離は心の距離」と考えているという。人の気配を感じ同じ時間を共有できる暮らし方が、コロナ禍を経て再び求められるようになった背景には、家族や社会との繋がりを強く再認識したいという人々の希求があるのだろう。
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文=河村優

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