コロナ禍で日本の住宅ニーズに変化 「区分け」よりも「繋がり」重視へ

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仁木たちが2013年に手がけ、グッドデザイン賞ベスト100を受賞した「GENIUS GATE」という二世帯住宅モデルには、そうした「繋がり」を創出するための工夫が随所に見られる。「住み開く家」をコンセプトとして、世帯や近隣地域にも開かれた住まいを実現している。

モデルハウス
手前のカウンターは、用途に合わせて配置を変えることができる。また、奥に見える趣味の部屋や、その他の部屋にもドアがなく、家全体の空間の繋がりを感じられる。(Green Infrastructure Model展示棟にて)

GENIUS GATEの玄関は、開放的な半屋外のポーチになっている。樹木が植えられたくつろげる空間は、誰とでも何気なく会話を交わせる環境を生み出している。

また、1階のリビングは窓が街路に面しており、「ウィンドーギャラリー」のように趣味の物を飾ることができる。家の前を通る人は窓際に置かれた物を見て、その家に住む人の趣味を知る。住まう人と地域との緩やかな繋がりが創出される設計となっているのだ。

スマートハウス
1階部分はシェアオフィスになっており、休日には地域の人々が集まる場にもなる(Green Infrastructure Model展示棟にて)

また、仁木たちが2021年7月に発表した、2030年の住まいを想定したコンセプト住宅「Green Infrastructure Model」では、1階部分がシェアオフィスとして貸し出せるパブリックな空間となっており、休日にはカフェのように近隣の人々が交流する場としても利用できる作りになっているという。

コロナ禍で他者との繋がりにより意識を向けるようになったが、これをきっかけに未来の住宅は、これまで以上に開かれた場となっていくのかもしれない。


仁木政揮(にき・まさき)◎ミサワホーム商品開発部チーフデザイナー、一級建築士。「INTEGRITY(インテグリティ)」「Green Infrastructure Model」をはじめ、同社の新商品のコンセプト構築、企画開発、モデル棟の建設などに携わる。

文=河村優

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