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2021.08.27 16:30

時価総額13兆円の決済企業スクエアが生んだ女性ビリオネア

ジャクリーン・レス(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

ジャクリーン・レス(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

決済企業スクエアの成長を牽引したテクノロジー業界のベテランとして知られるジャクリーン・レス(Jacqueline Reses)は、同社の株価の上昇によりビリオネアの仲間入りを果たした。

レスは、今月初めに発表されたフォーブスの「米国で最も裕福な叩き上げの女性ランキング(America’s Richest Self-Made Women)」で30位にランクインし、推定保有資産は9億2000万ドルとされていた。その後、スクエアの発行株式の0.4%を保有する彼女の保有資産は10億ドル(約1100億円)の大台を突破した。

サンフランシスコ本拠のスクエアの株価は、2015年の上場当時の価格(12ドル)から約22倍に上昇し、8月25日に267.57ドルで取引を終えた。同社の時価総額は1200億ドル(約13.2兆円)を超えている。

レスは、IPO直前のスクエアに2015年に入社し、中小企業向け融資部門のスクエアキャピタルの責任者を務めた後、2020年10月に退社した。

ニュージャージー州アトランティックシティで生まれ育ったレスは、父親が経営する薬局の仕事で、スモールビジネスに興味を持ったという。1992年にペンシルバニア大学ウォートンスクールを卒業した彼女は、ゴールドマン・サックスでM&Aを担当し、副社長まで昇進した後に、不動産業界向けソフトウェア会社iBuildingのCEOに就任した。

2001年にiBuildingが買収された後、レスはプライベート・エクイティ企業であるエイパックス・パートナーズに入社し、10年以上勤務した。その後、2012年にヤフーに入社し、最高開発責任者を務めた。

レスが、スクエアに入社したのは2014年のスクエアキャピタルの立ち上げから約1年後のことだった。スクエアキャピタルは、彼女のリーダーシップのもとで、パンデミックの際に8万社に約8億5000万ドルのPPP(Paycheck Protection Program)ローンを提供した。

彼女はまた、今年初めに連邦預金保険公社(FDIC)の認可を受けた銀行部門「Square Financial Services」のエグゼクティブチェアマンを務めていた。

スクエアキャピタルは、外部の小売業者向けのソフトウェアとハードウェアを統括する「セラー」部門の一部を構成している。スクエアの昨年の粗利益27億ドルのうち、15億ドルをセラー部門が占めていたが、モバイルバンキングサービスの「Cash App」の急成長や、音楽ストリーミングサービス「Tidal」を買収したことも、同社の株価上昇の一因となっている。
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編集=上田裕資

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