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2021.08.27

「行動して得るものすべてが投資」投資コンソーシアムが変える20代の価値観

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「20代の若い人たちに、学んでほしくないことがお金の投資なんですよね」

シンクタンク・ソフィアバンク代表の藤沢久美は、こちらの意表を突いた言葉を切り出した。藤沢は現在、様々な業界から20代を集めて投資について考える「1O4(「とうし」と読む)コンソーシアム」の講師兼ファシリテータ役を務めている。1、2回目のセミナーで、藤沢が掴んだ感触は、20代の参加者からの質問が「お金の投資」について集中したことだった。

コンソーシアムは、金融と投資の世界に関する知識を深めることが目的の一つにある。そのため、こうした質問が飛び交うのは想定内のことだ。が、藤沢はそれに満足していなかった。というのも、藤沢が目指す先は、業界や社会に浸透している投資に対する「固定観念」を覆すことにあるからだ。

投資とは、「投機的なイメージがいまだ根強くある」と藤沢。20代の参加者からも「危険」「難しい」といったネガティブな声が聞かれた。「銀行や証券会社が何十年も投資教育に取り組んできても、個人投資は一向に伸びない。

つまり、金融業界が考えている投資についての定義やアプローチが間違っているということ。このままでは、若い世代には響かない」。投資を巡る現状に危機感を覚え、藤沢は、約1年半の準備期間を費やしコンソーシアムの立ち上げに関わってきた。それも、新しい「投資」の考えを浸透させることが「日本の未来を創る」一歩になると信じているからだ。そこに、藤沢の目指すコンソーシアムの着地点がある。


シンクタンク・ソフィアバンク代表の藤沢久美

藤沢は、「人生そのものが投資活動」という投資論を持っている。たとえば、進学や就職、結婚、転職など、人生の中で直面する数々の選択肢。どれを選択しても、自分の成長につながる価値を生み出す。それは投資と同じことだという。お金だけでなく、時間、仕事、知識などは、すべて自己成長につながる投資資産だ。

投資において重要なことは、「お金や時間といった資産を手放した瞬間から自分の頭で考えて、その資産をプラスのリターンに変えていく行動だ」と強調する。お金を預けて増えていくのを待つような受け身の発想はそこにはない。

藤沢自身、過去には投資で痛い目にあったこともある。育てた会社を手放す苦渋の決断やキャリア転向といった、いくつものリスクテイクを重ねてきた。そうした経験と知識に裏打ちされたからこそ、藤沢の発するメッセージは、ストレートに20代の心に響く。

「20代の自分が描く未来や成長へと到達するために、どんな行動をすべきなのか、どうすればリターンが生まれるのか、人生の目標を投資に置き換えながら考える“投資思考”を身に付けてほしい」。その思考法によって、「先を見通しできて、リスクを取ることが怖くなくなる」と藤沢は言う。

投資思考を習得する方法は、藤沢いわく、簡単だ。(この続きは、Forbes JAPAN10月号でお読みいただけます)

藤沢久美◎ソフィアバンク代表。2007年ダボス会議主宰の世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出。現在、複数の省庁での審議委員、日本証券業界等の公益理事や多様な企業の社外取締役も兼務。

文=中沢弘子 写真=有高唯之

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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