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2021.08.26

「木のソーダ」で山林を救う 石川県白山市の循環型プロジェクトとは

(左から)fabriqプランナーの三嘴光貴、代表取締役の高平晴誉


成功のカギは「地元メンバー」の巻き込み


これだけのいくつものプロジェクトを同時に走らせている「QINO」の底力は、白山市在住のプロジェクトメンバーにある。

彼らが当事者意識を持ってミーティングに参加することで、リアルな地域課題をすくい取り、地域でも受け入れられる活動に着地させることができている。高平は「私たちのようなよそ者が潤滑剤となることで、地域内で不思議と団結力が生まれるのかもしれないですね」と振り返る。


「QINO」プロジェクトメンバー/fabriq提供

プロジェクトでは今後、スギの間伐材を活用した「木糸ハンカチ」や「木糸カーテン」の製造・販売も計画中。ものづくりだけでなく、「クリスマスツリーファーム」や「森のサウナ」といったコンテンツづくりも検討している。

「我々は、ただやみくもに木を使ったアイデアを形にするのではなく、山が本来の植生に還れるようにデザインしながら、”コト・モノ・体験”を創造すること、を念頭に置いています。そのために、林業者やランドスケープデザイナーとともに、植生調査や森林計画を慎重に行っていきます」(高平)。

手入れがされていない「人工林」は、まだまだ全国に多数存在する。彼らは白山市がひとつのモデルケースとなることを願い、長期構想で挑戦を続けていく。

文=田中友梨 写真=小田光二

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