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2021.08.26 07:00

テスラが誇る「自前主義」と6つのAIテクノロジーの全貌

テスラ・ボット(c)Tesla

テスラ・ボット(c)Tesla

テスラが8月19日に開催した「AIデー2021」では、同社のAI(人工知能)に関する様々な取り組みが紹介された。幹部たちのプレゼンのテーマは、コンピュータビジョンや「計画と統制」、シミュレーション、データインフラストラクチャ、自動車用スーパーコンピュータ、データセンター用スーパーコンピュータなど多岐にわたるものだった。

イーロン・マスクは最後に登場し、テスラが開発中の人型ロボットを発表した。

当日のプレゼンの中には、説得力に欠けるものもあったが、イベントを通して、テスラが実に多くの分野に取り組んでいることが示された。同社は、競合他社の多くがソフトやハードなどの開発を外部のサプライヤーに委託しているのに対し、全て自前で構築している点を繰り返し強調した。


イーロン・マスク(Patrick Pleul - Pool/Getty Images)

コンピュータビジョン


イベントでは、テスラでAI部門のシニア・ディレクターを務めるAndrej Karpathyが最初に登壇し、同社が開発したニューラルネットワークのアーキテクチャについて説明した。Karpathyが4年前にテスラに参画した頃は、1台の車載カメラから取得した1つの画像を個々のニューラルネットワークに入力していたという。

その後、Karpathyと彼のチームは、時空間メタデータを活用することでシステムのパフォーマンスを高める新たなニューラルネットワークのアーキテクチャを開発した。1つのネットワークのバックボーンが全ての車載カメラの画像を取得し、組み合わせて分析をすることで周辺環境をより正確に認識することが可能になるのだという。

新しいアーキテクチャは、車両が少し前に通過した標識など、過去の画像を覚えている。標識が視界から消えても、車両による認知や将来予測に影響を及ぼす可能性があるからだ。

Karpathyの説明で最も興味深かったのは、テスラがシステムのアウトプットを変更した点だ。新たなニューラルネットワークは、車線や物体検出といった人間が理解しやすいアウトプットではなく、ベクトル空間に分析結果を出力してAIシステムの他のパーツがそれを最大限活用することを可能にする。
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編集=上田裕資

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