──今回のプロジェクトにはどのような人が参加しているのでしょうか?
su-re.coのコーヒーのパッケージには人の顔がたくさん書かれています。実はこれ、実際にプロジェクトに参加している人たちなんです。欧州から研究や支援で来ている人もいれば、インドネシア政府・インドネシア気象庁の人もいて、su-re.coのメンバーも合わせるとかなりの人数になります。
コーヒーのパッケージ(Image via su-re.co)
プロジェクトメンバー(Image via su-re.co)
関係者は多いのですが、全部の作業をバリ島でやる必要はありませんし、パートナーシップがあれば、彼らをプロジェクトメンバーとして囲い込む必要もありません。みんなが必要なパートで動いてくれています。いまは組織のあり方も含め、新しいやり方を考えています。
──バイオガスキットとブロックチェーンのシステムは誰でも簡単に扱えるものなのでしょうか?
操作の仕方はシンプルなので、誰でも使うことができます。たまに国やNGOが支援に入ったときに、豪勢な装置を作ることもあるのですが、現地の人がそれを買い続けるということはあまりありません。現地の人が使い続け、ビジネスとして回っていくことがなければ、意味があるとは言えません。
そのためにsu-re.coではまず農家にとっての初期投資をできるだけ抑えられるようにしました。それでもバイオガスキットを買わない農家が多かったため、最終的には無料で配布することにしました。その分はコーヒーやカカオなどの売り上げで賄ってもらい、さらにブロックチェーンを使った排出権取引を通じて彼らの利益を生み出せないかと考えています。
──今後su-re.coは、社会にどんなインパクトを与えていきたいですか?
今後は個々人の利益よりも、環境や社会の利益を優先する時代がやってくると思っています。気候変動など自然の変化によって、人間の活動にも実害があるということが認知されてきたからです。
例えば先日、iPhone12がリリースされたときに、充電器がついていないことが発表されました。Appleはその理由を「iPhoneを収納する箱を小さくし、運搬するときのエネルギーを抑えるため」と説明しました。それによってトラックや飛行機で、一度にたくさんのデバイスを運ぶことができます。そしてその発表に対して、あるYouTubeのインフルエンサーが「それなら仕方ない」と発言したのです。充電器が付いていないのは、ユーザーとしてはもちろん不便なのですが、それでも環境・社会的な利益を優先する。そういう社会が間もなくやってくるのだと思います。
段々とみんなが、「自然環境を蔑ろにすると自分たちに返ってくる」ことを認識しはじめています。su-re.coではそうした社会での先進事例となるプロジェクトを作っていきたいですね。
──最後に記事を読んでくださっているみなさんにメッセージをいただけますか?
今回はクラウドファンディングで支援をしてくださっている方もいるかと思いますが、いずれは支援ではなく私たちのビジネスに参加してほしいです。こうした背景を知って、いずれ私たちのプロダクトである、コーヒー・チョコレート・ロウソク・石鹸などを購入していただけるといいなと思っています。
(Image via su-re.co)
高間剛(たかま・たけし)◎オックスフォード大学で環境博士号を取得。現在はストックホルム環境研究所(SEI)のアソシエイト、ウダヤナ大学の客員教授などを務める。su-re.co CEO。
この記事は、2020年11月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
(上記の記事はハーチの「IDEAS FOR GOOD」に掲載された記事を転載したものです)
連載:国内外のサーキュラーエコノミー最新動向
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