su-re.coが開発したバイオガスキットは、農家が育てる家畜の糞や家庭からでる残飯などを発酵させることで、クリーンなガスと有機堆肥を発生させるというものだ。このガスの主成分はメタンガスであり、それは二酸化炭素の100倍以上の温室効果があると言われている。家畜の糞を材料にする装置はメタンガスを捕獲する役割も果たしているのだ。農家がスムーズに装置をを導入できるよう、su-re.coは気候変動を根本から学ぶためのスクールも開催している。
気候変動スクールの様子(Image via su-re.co)
バイオガスキットを使用する農家(Image via su-re.co)
su-re.coの挑戦は、バイオガスキットを導入するだけでは終わらない。彼らはさらに、欧州政府の研究プロジェクトでカーボン・オフセットをブロックチェーンで取引するシステムを開発中だ。
現在クラウドファンディングが行われているsu-re.coのプロジェクトが目指すものは、バイオガスキットを導入した農家のCO2削減量を計測し、CO2排出権として販売できるようにするシステムの確立だ。削減されたCO2量に応じて、農家には対価としてモバイルマネーが支払われる。この仕組みは農家がバイオガスキットを導入する動機となり、インドネシアにクリーンエネルギーの利用を広げる契機となる可能性を秘めているのだ。
個人の充足だけでない社会の先進例に
もともとsu-re.coはどんな経緯で立ち上がり、今後どのような活動を展開していくだろうか。代表を務める高間氏にお話を伺った。
インタビュー中の様子
──高間さんはなぜsu-re co.を立ち上げたのですか?
もともと大学教授になるつもりで、博士号を取ったあと、ストックホルム環境研究所で気候変動の研究をしていました。最初に携わった南アフリカのプロジェクトでは、研究として良い成果は出ていたのですが、明確な解決策を提示できなかったというのが心残りでした。そのあと携わったインドネシアでのプロジェクトでは解決策を実行するところまでやりたいなという気持ちがあり、su-re.coを立ち上げました。
──なぜコーヒー・カカオの作物に注目したのですか?
バリ島の農業の状況をみていると、地域によっては稲作が困難になっているところもあり、稲作をやめてカカオ栽培を始めたところの生活水準が高いということがわかりました。それがきっかけとなり、カカオに注目しました。あとは、どの作物も気候変動の影響は受けますが、金銭化しやすく、農家にしっかりと収入をもたらす農業が良かったというのも、コーヒー・カカオを選んだ理由の一つです。