すでに約1億7080万人、米国で接種を受けることができる人の約60%が、ワクチンの接種を完了している。だが、感染力が強まった変異株の「デルタ株」によって感染者が再び急増する中、この状況から抜け出す唯一の方法は、さらに多くの人がワクチン接種を受けることだとされている。
ワクチンの「正式承認」とは?
16歳以上のすべての人への2回の接種が正式に認められたファイザー製ワクチンにはこれまで、「緊急使用」が許可されていた。これは、FDAが入手可能なデータに基づいて判断した結果、メリットがリスクを上回るものとして、公衆衛生上の緊急事態が続き、必要と考えられる限りは使用を認めるというものだ。
一方、「正式承認」は、現在のような緊急事態からは脱したと宣言された後も、ファイザーにこのワクチンの製造を認めるというものだ。ワクチンによって得られた免疫力が時間とともに弱まるとして、ブースターショット(追加接種)が必要だとされる中、必要なことだったと考えられる。
また、正式承認されたことにより、医師はこのワクチンを今後、「適応外使用(承認された効能は効果、用法や用量以外での使用のために処方)」することもできるようになる(FDAは、これを推奨していない)。
接種は「義務化」される?
正式承認されたことで、より多くの政府機関が今後、ごくわずかな例外を除き、職員に接種を義務づけることになるだろう。ニューヨーク市はすでに、公立学校の教職員に対してワクチン接種を義務化すると発表。国防総省も全兵士に接種を義務づける方針を明らかにしている。
大半の雇用主も、従業員に接種を求めるようになるだろう。労働組合がある職場では、組合との協議が開始されることになると考えられる。
接種を受ける人は増える?
正式承認されたことが、ワクチン接種率にどのように影響するかを予測することはできない。だが、多くの世論調査の結果からみて、これまで態度を決めかねていた人たちの一部は、接種を決意すると考えられる。
カイザー・ファミリー財団が6月末に発表した調査結果では、ワクチン未接種の人の31%が、「正式承認されれば、接種を受ける可能性は高まる」と回答。また、「様子を見る」としていた人の半数近く、「絶対に受けない」と答えていた人の8%が、接種に前向きになるとみられている。