特集の最後を結ぶのは、伝説のエンジェル投資家、瀧本哲史の記事だ。2019年、病のため47歳の若さで亡くなった彼は、その生涯において若者たちに教育のかたちで投資し続けた。その意志は、どう生きているのか。瀧本と強いかかわりがあった医師の石橋由基、オトバンク社長の久保田裕也、前つくば市副市長の毛塚幹人の3人に話を聞いた。
瀧本は『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』(いずれも星海社新書)という著書を残しており、今回の特集はオマージュの意味を込めている。彼が命をかけて伝えたものこそが投資思考、つまり「投資家のごとく考えて、自分の人生を生きる」という覚悟だった。
「これからは投資家的な発想を学ぶことがもっとも重要だということを繰り返し述べたい。なぜならば、資本主義社会では、究極的にはすべての人間は、投資家になるか、投資家に雇われるか、どちらかの道を選ばざるを得ないからだ」
(『僕は君たちに武器を配りたい』より)
Forbes JAPAN 10月号には、この特集以外にも投資について考える話題を並べた。
表紙に登場したカマラ・ハリス米副大統領による寄稿は、「インクルーシブ・キャピタリズム」をテーマにした社会インフラ投資について。第2特集「最新 フィンテック50」は、米フォーブスが選定するフィンテック50社を紹介。決済サービスから不動産、保険、ブロックチェーン、ビットコインなどを、潮流とともに掲載する。対談連載「植野大輔と探るCxOのビジョン」は、元FOLIO副社長のリュウ・シーチャウ(現レノボ・ジャパンCMO)が投資思考とキャリアについての持論を展開している。
雑誌全体を横断的に読んでいただくことで、私たちが定義を試みようとする「投資思考」について、ともに考えを深めていただければ幸いである。