この「投資思考」特集は、大きく3つのパートにわかれる。
最初のパートは、ESG投資やインパクト投資など、すでに潮流として社会が目標として向かう先の未来がテーマだ。入門的な内容から始まり、これからの動きを具体例で明かしていく。また、理想に近づくための考え方、投資のあり方も紹介する。
こうした投資の可能性に目を向けつつ、そこに一抹の危うさがないかを「ESG投資をめぐる『不都合な真実』とは?」と題したコラム記事で検証。なぜ、ウォーレン・バフェットはESG投資へのアンチテーゼとも呼べる動きをしたのか。押さえておきたい2つの用語、「グリーニアム」と「グリーンウォッシング」の解説と併せて、ぜひ本文で。
パート2は、国内外の投資エキスパートに「投資思考」を尋ねる、本特集の真骨頂と呼べるコーナーだ。日本人として初めて米フォーブスの投資家ランキング「ミダスリスト(The Midas List)」ランカーとなったSozoベンチャーズの中村幸一郎や、IPOによる投資利益額で2020年の国内1位(日経調査)となったエイトローズ ベンチャーズ ジャパンのデービッド・ミルスタイン社長らにインタビュー。いわば「目利きに学ぶ」投資思考だ。
人への視点と、本から学べること
パート3は、個人の人生と「投資思考」がいかにシンクロするか、である。実際、特集の全体を通じてキーワードになったのが、「人」への視点だった。
日本で女性が初めて起業したESG重視型のグローバルVCとして話題を呼ぶ、MPower Partners。GP(ゼネラル・パートナー)としてファンドを立ち上げたのは、ゴールドマン・サックス証券の日本副会長兼チーフ日本株ストラテジストだったキャシー松井、元OECD(経済協力開発機構)東京センター所長の村上由美子、『FACTFULLNESS』などのベストセラー書を翻訳した関 美和の3人だ。なぜいま、VCとして起業家を支援するのか。その理由は、親の背中を見てきた彼女たちに共通する「生い立ち」にあった。
読者の投資思考を鍛える「武器」にしてもらうため、プロたちによる「ブックガイド」も作成。下記の選書ラインアップを、誰が、どういった理由で推薦しているのか。その答えは、本誌で確かめていただきたい。
『繁栄の法則 戸が笑う』北川八郎
『エンジェル投資家』ジェイソン・カラカニス
『The Almanack of Naval Ravikant』エリック・ヨルゲンソン
『幸福論』バートランド・ラッセル
『シン・ニホン』安宅和人
『信長の原理』垣根涼介
『イノベーション・オブ・ライフ』クレイトン・M・クリステンセン
『プロセスエコノミー』尾原和啓
『イスラエル 兵役拒否者からの手紙』ペレツ・キドロン
『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史