世界では、それを見据えてデジタル教育が盛んに行われており、日本でも「プログラミング教育」などが開始されているが、パソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル機器の活用率はOECD加盟国の中で日本はなんと最下位。
「プログラミング教育」についても「プログラマーを育てるための教育」といった誤解もあるなど、世間ではいまいち理解が進んでいない。
そこで、ITエンジニア・IT教育者でありデジタル教育に詳しい松林弘治氏に、「プログラミング教育」そして「プログラミング的思考」について解説してもらった。
※本稿は『シン・デジタル教育 10年後、わが子がAIに勝つために必要なこと』』(かんき出版)より一部抜粋・編集したものです。
プログラミング教育は「国民総プログラマー化」が目的ではない
2020年度から「プログラミング教育」が開始されました。そして、2021年度には、児童1人ひとりに対してタブレット端末やノートPCの配付も開始されました。
そんな中、巷のプログラミング教室は活況を呈しています。教育各社が発表している「習い事ランキング」を見ても、プログラミングは、ピアノや水泳などと並んで上位に入っています。
しかし、プログラミング教育には多くの誤解があります。なかでも新聞やテレビでよく目にする「プログラミング的思考」という言葉は、特に誤解されがちな言葉です。
文部科学省は「プログラミング的思考」を次のように定義しています。
“自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力”
「ある目的を達成するための、最も効率のいい手段を論理的に導き出す思考法」とでも言えばいいでしょうか。
こんな意味合いがあるのですが、どうしても「プログラミング」という強力な言葉のせいもあり、「プログラマーを養成するための教育?」などとイメージを引きずられている人が多いのが現状です。
では、「プログラミング的思考」とはなんなのか? ここではそのほんの一部になりますが、わかりやすく解説しましょう。