新型コロナの教訓をどう生かす? G7策定の「100日ミッション」とは

将来のパンデミックにどう備える?(Shutterstock)


何とかしようという意思はあるので、それをうまく導いていく必要があります。G7の呼びかけに対するフォローアップは、3つのトラックに沿って進めることができます。

1. G20、国連、WHOの活動をG7の対策と織り交ぜ、より広範な政治的支援と合意の基盤を形成する政治・外交トラック。特に、G7加盟国の英国、ドイツ、日本や、G20加盟国のイタリア、インドネシア、インドにとっては、世界が次のパンデミックに備える上で、今後2年間、協力しリーダーシップを発揮する機会となります。

2. 学際的な視点を取り入れ、グローバルなパンデミックシステムのさまざまなモジュールのための研究開発アジェンダを形成する科学技術トラック。このトラックには、これを実現するための中立的なデータアーキテクチャと高度なAI(人工知能)モデルの開発も含まれます。G7の科学アカデミーが強調しているように、緊急事態における健康データの使用には、ガバナンスメカニズム、インフラ、テクノロジーに基づく原則に沿った行動が必要です。

100日ミッション
(イメージ: I-DAIR, 2021)

3. 一般市民、イノベーター、公共の精神を持った民間企業に働きかけることで、国際機関や政府の枠を超えた幅広いコアリションを形成するパブリック・エンゲージメントトラック。新世代の科学者、技術者、起業家、市民社会グループをパンデミックの監視や対応に取り込むといった課題もこのトラックの一部とすべきです。次のパンデミックに最終的に打ち勝つためには、現在よりもさらに広範なイノベーションの基盤が必要です。

カービスベイG7会議の成果は、WHOのパンデミックの事前準備および対応に関する独立委員会(IPPPR)の報告書およびG20のローマ宣言で形成されたモメンタムを維持するものです。また、英国の「グローバル・パンデミック・レーダー」やWHOの「ベルリン・ハブ」などのグローバルな監視プラットフォームへの取り組みも発表されています。科学、データ、アナリティクスを基盤とした、2年の実施ロードマップを調整することが次のステップとなるでしょう。

データ共有の協定基準やプロトコル、そして既存の検知・監視システムへの連結など、共通の政策フレームワークを構築する上で、WHOのリーダーシップは非常に重要です。公的機関、学術機関、民間セクター、慈善団体の有志が集結すれば、次のパンデミックを回避すべく、早期に成果を生み出し、2023年のG7およびG20サミットにおける採択に向けたスキームが提供されるようWHOを支援することができます。


文=Amandeep Singh Gill, Project Lead, International Digital Health and Artificial Intelligence Research Collaborative (I-DAIR), The Graduate Institute of International and Development Studies

共同執筆者=ハラ・アウディ氏(トリニティ・チャレンジCEO)、ルパート・ルイス氏(ロイヤル・ソサエティ主任科学政策担当者)、ビラル・マティーン氏(ウェルカム・トラスト科学・健康重点領域臨床技術部長)、ダニール・ミハイロフ氏(data.orgエグゼクティブディレクター)、ペイリング・ヤップ博士(I-DAIR主任科学者)

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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