新型コロナの教訓をどう生かす? G7策定の「100日ミッション」とは

将来のパンデミックにどう備える?(Shutterstock)

もし将来次のパンデミックが発生した際には、より迅速でスマートな対応が求められることでしょう。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・感染症による将来のパンデミックを防ぐため、ワクチン開発や治療・検査法の確立に要する時間を100日以下にするという目標が新たに設定されました。
・その達成には、臨床試験に関するグローバルなプロトコルの合意、スマートな分散型の製造能力の増強、医療従事者の動員が必要です。
・この目標達成に向けたWHOのリーダーシップを支援するには、官・民・学と慈善団体によって形成される「有志連合」が必要です。

英国主催、カービスベイで開催された2021年G7サミットで、将来のパンデミック(世界的大流行)に対応するために、パンデミック発生から100日以内に検査法や治療法の確立、ワクチン開発を行うという野心的な目標が設定されました。この「100日ミッション」は、新型コロナウイルスのパンデミックで見られたものとは大きく異なる取り組みと変化が求められます。

新型コロナウイルスの治療法に関する世界最大規模の国際的な無作為化試験である世界保健機関(WHO)の「連帯治験」の経験を基に、臨床試験のグローバルなプロトコルが合意に至ったのもその一つと言えます。並行して、病原体の性質に応じて様々な方向に増強できるスマートな分散型の製造能力も必要です。また、研究費の無駄をなくし、人材や資源への共同出資を可能にするため、研究開発への投資について連携をさらに深めていかなければなりません。

デジタル・インフラの整備とリテラシー向上を


100日ミッションを達成するためには、人的能力と医療従事者の動員が不可欠です。パンデミックとインフォデミックの新たな時代に備えて、第一線で働く公衆衛生担当者の再教育が必要となるでしょう。

コンテンツや研修プラットフォームを共同開発することで、あらゆる国の公衆衛生担当者が集う学習コミュニティを形成することができるほか、この取り組みにより、人の健康が動物の健康や環境と密接に関連していることを認識する「ワンヘルス」アプローチに関する国際的な視野を確立し、公衆衛生対策のデジタル化に対する理解を深めることにもつながります。

100日チャレンジ
可能性と影響度で評価したグローバルリスクのランキング(イメージ: World Economic Forum)

医薬品以外の介入方法や新しい検査・治療法を、既存のワークフローにスムーズかつ効率的に組み込むためには、初めの段階から医療従事者を巻き込む必要があります。これは、今回のパンデミックで追跡アプリや同様のデジタルツールを導入した成果がまちまちであったことから得られた教訓です。
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