カマラ・ハリス米副大統領が描く、インクルーシブな起業支援への道

(photo : Jamel Toppin)


これはよくある話だ。従来型の銀行やベンチャーキャピタルは、女性や有色人種の人々が描くビジョンに常に目を向けられていたわけではなかった。一方、コミュニティレンダー(地域開発金融機関)はそうしたビジョンに目を向けるべくして設立されており、有色人種や低所得層のコミュニティに対する資本アクセスの提供に価値があることを理解している。そして、そうした理解があるからこそ、そのコミュニティや国に付加価値を生み出している。

私は上院議員時代、コミュニティレンダーに対する120億ドル(約1兆3200億円)の追加支援を実現させた。そしていま私たちは、その投資を強化しようとしている。私たちは共に、米国のすべての起業家が自らのビジョンを実現するために必要な資本を手にできるよう、支援しなければならない。

「ケアのインフラ」の重要性


成功の障害となるものは、ほかにもある。ダニエル・ロマネッティはバージニア州で小さな毛糸販売店を経営している。私が数カ月前、ダニエルとその従業員らを訪ねたとき、彼女たちは、女性経営者にとって育児支援の欠如がパンデミックの最中にどれだけ障害になるかを語った。子どもをクルマに乗せて商品を顧客のもとに届けたり、職場に子どもを連れてこなければいけなかったりした人もいた。


ダニエル・ロマネッティ(左)を尋ねたハリス米副大統領(2021年3月3日撮影、Getty Images)

女性起業家、そしてすべての起業家にとって、パンデミックはこの国がもつ「ケアのインフラ」の重要性を浮き彫りにした。

多くの人にとって、育児や介護のケアサービスは事業を築くための懸け橋となる。このことから、ジョー・バイデン大統領と私は、商品輸送用の道路の改修、一般向け交通機関の改善、手ごろな価格で利用しやすい高速インターネットを整備するのみならず、育児・介護サービスの拡充にも取り組んでいる。

──カマラ・ハリスが説く「インクルーシブ・キャピタリズム」。この記事の続きと解説は、フォーブス ジャパン2021年10月号(8月25日発売)に掲載! 購入はこちらから。

文=カマラ・ハリス 翻訳・編集=遠藤宗生

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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