米ワクチン追加接種、パンデミックと闘う世界に「悪影響」との批判も

インドなどの新興国は深刻なワクチン不足に陥っている(Satish Bate/Hindustan Times via Getty Images)


ブースターショットの効果は不明


こうした中で問題をさらに複雑にしているのは、このパンデミックから人々を守るものとしてのブースターショットの重要性が、今のところ不明だということだ。

米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の国際ワクチン・アクセス・センターで所長を務める同大学のウィリアム・モス教授(疫学)は、重症化リスクが高くても免疫不全ではない人であれば、2回の接種で十分な効果を得られるはずであり、現時点では、3回目の接種が必要とは考えられないと述べている。

一方、ノイマー准教授は、「ブースターと呼ばれているが、このワクチンは3回の接種が必要なものであるということが分かり始めた、というだけのことかもしれない」とコメント。このウイルスとワクチンについては、まだ分かっていないことが多いと話す。

さらに同准教授は、ブースターショットが承認されたことは、パンデミックに対する世界的な闘いをより困難なものにするだろうと付け加えている。

「ブースターショットの実施は、何億回分ものワクチンがすでに2回の接種を受けた人たちに回されることを意味する。全世界の人たちに接種を受けてもらうことは、さらに難しくなる」

米国は、各国がワクチンを共同購入し、途上国などに分配する国際的な枠組みのCOVAXを通じて、すでに1億回分以上のワクチンを他国に寄付している。だが、国内で生産されたワクチンのうち、廃棄される分も相当量に達している。使用期限が切れる前により多くのワクチンを寄付することができれば、世界中のパンデミックとの闘いを、支援できるはずだ。

編集=木内涼子

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