Forbes JAPANでは、これまでの考え方や既存のシステムを超えて活躍する女性にフォーカスした企画「Beyond Systems」を始動。約3カ月にわたり、翻訳コンテンツを含めたインタビュー記事を連載していく。
「公の失敗のいいところは、失敗の恐怖を取り去ってくれることです」と語るのは、高級ブランドの中古品を扱うオンラインショップ「ザ・リアルリアル」の創業者でCEOのジュリー・ワインライトだ。現在64歳の彼女には、企業破綻を仕切った経験がある。ネット業界史上屈指とも言われた惨事から彼女が得た教訓とは。
企業破綻から再起、話題の企業のCEOに
2000年11月8日、朝4時に目覚めたジュリー・ワインライトを待っていたのは、当時の夫からの宣告──離婚したいという通達だった。その同じ日に、当時「ペッツ・ドット・コム」の最高経営責任者(CEO)だったワインライトは、車で職場へ乗り込み、従業員の解雇と会社の閉鎖に着手した。
続く数カ月で、そのふたつの出来事の副次的影響に集中することを余儀なくされたワインライトは、従業員の退職金を確保し、離婚手続きをひとつひとつ片づけていった。そのあいだずっと、世間の甚だしい詮索の目にさらされながら。
記者たちは彼女の一挙手一投足を追い、ブロガーは彼女を、シリコンバレーで「一番の間抜け者」と呼んだ。それから1年ほどが経ち、巻き上がった塵がようやく落ちつき始めたころ、実際に起きたことのリアリティが、本当の意味でワインライトに襲いかかった。
「このままでは、自分の人生の後半はひどいものになるかもしれない。何か手を打たなければ」。そう考えたことを彼女は覚えている。
何か手を打つ──。彼女は確かにそれをやってのけた。ワインライトは2011年に、高級ブランドの中古品を扱うオンラインショップ「ザ・リアルリアル」を創業。現在は、本物と証明された高級ブランドの中古品を扱うマーケットプレイスとしては世界最大の規模を誇る同社のCEOを務めている。
ワインライトは、フォーブス「50 OVER 50(50歳オーバーの50人)」の初代メンバーでもある。フォーブスが選んだこのリストには、50歳を迎えたあとに重要な地位につき、大きな影響力を発揮している女性たちが名を連ねている。