ポストコロナのビジネス推進に欠かせない「共感力」

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職場での対話を促進する


パンデミックをきっかけに、ストレスを抱えたり、バーンアウト(燃え尽き症候群)になったりする人が増えた。そんな今こそ、リーダーは従業員のメンタルヘルスを優先させ、従業員が「気持ちを聞いてもらえる」環境をつくるべきだ。

それを実践したのが、ソフトウェア開発企業Zendesk(ゼンデスク)だ。同社は2020年夏から、「エンパシー(共感)サークル」と呼ばれる集まりを実施し始めた。ここ12カ月で6度開催され、全世界からおよそ1000人が参加した。

会合の流れは決まっていないことがほとんどで、話題は、人種差別から子育てまで何でもありだ。これまでのところ、エンパシーサークルに参加したことで、安心できる職場環境づくりと共感力の向上に役立ったと感想を述べた参加者が95%に上っている。

エンパシーサークルは、特定の成果を出すことを重視するのではなく、会話を促して、成長と変化の可能性を広げることを目的としている。何よりも大事なのは、エンパシーサークルが反撃や非難をいっさい許容しない場であることだ。エンパシーサークルでの話題はそこだけにとどめ、他言無用ということになっている。

共感マーケティングを実践する


大手コンサルティング会社マッキンゼーが実施した調査によると、パンデミックにより、消費者行動は劇的に変化した。実店舗が閉鎖されたことと、ロックダウンでステイホームを余儀なくされたことで、オンラインショッピングへの移行が進んだのがその一例だ。また、外国旅行とそれに伴う消費が激減した結果、観光業も大きな打撃を受けた。

企業は、コロナ禍に関して無神経だと消費者から思われないよう、これまでのマーケティングを見直して、共感や思いやりを前面に打ち出すようになっている。

たとえば、スポーツ用品大手のナイキは、ロックダウンが実施されたのを受け、「Play for the World」キャンペーンを開始した。室内に閉じ込められている消費者たちに、ならば室内で運動しようと呼びかけたのだ。

日用品ブランドのダヴは、「Reverse Selfie(セルフィーを逆に戻す)」と題したキャンペーンを通じて、健康的なボディイメージを推進。キャンペーン動画では、スマートフォンのカメラアプリに搭載されたフィルターなどが、非現実的な自撮り動画をつくり出している様子を描いた。今後も顧客と心を通わせ、感情面で結びつきたいと考えるなら、企業は、共感マーケティングを取り入れた包括的戦略を検討すべきだ。

コロナ禍が収束したあとの職場では、優れた共感力を持つリーダーのほうが、従業員ならびに顧客と永続的な関係をうまく構築していけるのは間違いない。上司が自分のことを気にかけてくれていると実感できれば、従業員は忠誠心と献身的な仕事でそれに応えるだろう。それはきっとビジネスにとってプラスとなる。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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