6月のラウンドには、既存出資元のセコイア・キャピタル・チャイナやレノボキャピタル、ZhenFundなどが出資した。また、IDGキャピタルやCoStoneキャピタル、Green Pine Capital Partnersらも参加した。
「当社は新たな調達資金で、研究開発への投資を増やし、インテリジェントな製造ソリューションの大規模な導入を推進していく」と、今年のフォーブスの「30アンダー30アジア」に選出された同社のプロダクト部門の責任者のLi Ruiyuは話した。
2019年設立のSmartMoreは、コンピュータビジョンを製造業のスマートマニュファクチャリング分野で活用している。同社のソリューションは、製造ラインでの検品プロセスなどで活用され、自動車や半導体メーカの生産効率を高めている。SmartMoreの顧客には、消費財メーカーのユニリーバやP&G、エアバス、ドイツの自動車部品メーカーのコンチネンタル、日本のキヤノンなどが含まれている。
さらに、同社のビデオエンハンスメント技術は、エンターテインメントやモバイルゲーム業界でも活用され、香港のMedia Asiaはテレビ番組やミュージックビデオの古い映像を復元する際に用いている。
調査会社のDeloitは、中国の製造分野でのAIの市場規模が、今年の3億6500万ドルから2025年には20億ドルに拡大すると予測している。
センスタイムは香港でIPOの見通し
SmartMoreは、深圳以外にも北京や重慶、杭州、上海、蘇州、香港にもオフィスを構えており、昨年11月には最初の海外市場である日本の東京に拠点を開設した。
そして今月、SmartMoreは東南アジア地域での展開の一環として、シンガポールに進出すると発表した。シンガポール政府のSmart Nation and Digital Government Officeは2019年に、シンガポールをAI関連の世界的なハブに育てると宣言していた。
同社は、株式公開も計画中だが、Liによるとまだ正確なスケジュールは決まっていないという。ロイターの8月19日の報道によると、中国最大のAI企業のひとつであるセンスタイム(SenseTime)は、今月末に香港でIPO申請を行う予定という。
SmartMoreは、同社の会長で、香港中文大学のコンピュータサイエンスとエンジニアリングの教授のJia Jiayaらによって設立された。CEOのShen Xiaoyongや、CTOのLu Jiangbo、技術責任者のLiu Shuらは全員、Jiaya教授のもとで博士号を取得し、テンセントに勤務した後にSmartMoreを共同で設立した。