コロナワクチン「リアルワールド」データ、オックスフォード大が発表

Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images

新型コロナウイルスから身を守るための最善の方法は今のところ、やはりワクチン接種を受けることだ。だが、このほど英オックスフォード大学が発表した予備調査の結果では、そのワクチンの効果は、変異株の出現と接種後の時間の経過によって、いくらか弱まったとみられている。

ほとんど接種が開始されていない国がある中、一部の国が3回目の接種(ブースターショット、追加接種)を行うことには批判もある。だが、この調査結果により、追加接種が必要だとする考え方には説得力が与えられたといえそうだ。

3種類のワクチンを調査


研究チームは、英アストラゼネカ、米ファイザーとモデルナがそれぞれ開発した3種類のワクチンを接種した英国居住の約75万人について、調査を実施。優勢になった変異株の「アルファ株」と「デルタ株」に対するそれぞれの有効性を比較した。

現時点では査読を受けていないこの研究結果では、接種1回でのデルタ株への有効性は、モデルナ製ワクチンが最も高いとみられることが示された。だが、研究チームは、接種対象者の平均年齢が比較的若かったことが、この結果につながっている可能性があると指摘。データが限られており、2回接種後の結果について、他2種類のワクチンと比較することはできなかったとしている。

また、ファイザー製ワクチンは当初、アストラゼネカ製よりかなり有効性が高いとみられていたものの、接種後に効果が弱まるペースが速く、4〜5カ月後には、アストラゼネカ製とほぼ同程度になっていたことが確認されたという。

ただ、研究者らは、ワクチン接種を完了することにより、自然感染によって得られる免疫と「少なくとも、同じ程度の強さの免疫を得ることができる」と説明。いくらか効果が弱まったとしても、デルタ株への感染から身を守るための最良の方法は依然として、2回の接種を受けることだと述べている。

「集団免疫」獲得は不可能


また、その他の研究結果でもすでに示されているとおり、「新たに変異株が出現する中では、集団免疫を獲得することは不可能」と考えられるという。
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編集=木内涼子

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