在宅勤務なら減給も 米IT大手の「オフィスと働き方」の考え方

ロンドンのグーグルオフィス(Getty Images)


ただし、フェイスブックの方針には、こんな落とし穴がある。別の場所へ引っ越す場合には、上司に報告しなければならないのだ。

ザッカーバーグによれば、生活コストの安い都市に引っ越した人については、「新たな居住地に応じて、賃金を調整する可能性がある」という。さらに同氏は、こんな不穏な発言もしていた。「その時点での居住地に応じて、賃金を調整する予定だ。それについて正直に話さなかった人は、深刻な結果を招くことになるだろう」

現代の会社は、世界中で才能ある人を探すことができる。CEOたちが世界中から最高の求職者を最安値で雇えるようになれば、労働者にとっては最悪のトレンドになるかもしれない。


スイス・チューリッヒのグーグルオフィス(Getty Images)

グーグルの広報担当者は、次のように話している。「当社の給与体系は、以前から勤務地に応じて決められていた。そして、従業員の勤務場所に応じて、常にその地域の市場で最高級の金額を払っている」。さらに、賃金は、都市ごと、州ごとに変わるだろうとも述べた。

オフィスに戻したいもっともな理由


ただし、すべてのテック系企業がそうした方針をとっているわけではない。ソーシャルニュースサイトのレディットと、オンライン不動産データベースを運営するジロウは、「勤務地に関わらない賃金モデル」を掲げており、居住地に応じて従業員の賃金を変えることはしていない。

企業が従業員をオフィスに呼び戻そうとしているのには、もっともな理由がある。グーグル、フェイスブック、アマゾンは、会社の不動産に多額の投資をしてきた。その事実は、そうした企業が本気で従業員をオフィスの現場に戻そうとしていることを示している。

グーグルの親会社アルファベットは、カリフォルニア州マウンテンビューに大規模なカンパニータウン(企業城下町)を建設するプロジェクトを提案している。「ミドルフィールド・パーク基本計画」と呼ばれるこの構想では、約16万平方メートルの土地に、住宅や小売店、公園、娯楽施設、会社キャンパスが建設される予定になっている。


シアトルにあるアマゾン本社(Getty Images)

アマゾンはバージニア州北部で、25億ドルを投じた巨大な多目的オフィス・商業複合施設の建設に乗り出している。建設予定の新社屋では、およそ2万5000人の従業員が働くことができる。ワシントン州シアトルに次ぐこの第2本社は、22階建てのオフィスおよび商業ビル3棟からなる。屋外スペースには、木立、円形劇場、散歩道、広大な駐輪場、ドッグランが整備される。

フェイスブックも、従業員の在宅勤務を容認する現在の企業のトレンドに逆らう動きを見せている。同社は、アウトドアグッズの販売チェーン「REI」から、シアトル近郊にある、新築だが使用されていない広さ40万平方フィート(約3万7000平方メートル)の美しいキャンパスを購入した。

この見事な複合施設は、デザインと機能性を両立させたつくりで、いかにもアウトドア・ライフスタイルのブランドらしく、環境と自然がオフィス空間に組み込まれている。屋外の階段や橋、中庭のほかにも、働く人たちが広い空を眺められる天窓が備わっている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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