家という日常の空間で、非日常の体験をつくり出す。海外ではどんなホームパーティーが開かれているのか。イタリア、インド、台湾、ハワイの文化を聞いた。
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家族や友人と食卓を囲む時間を イタリアのホームパーティー
イタリアでは、週末の気軽なアペリティーボやアペリチェーナ(軽い夕食)はもちろん、記念日には必ずホームパーティーが開催されるという。
「いまだに日曜の昼食は必ずおじいちゃん、おばあちゃんの家で、親子3世代で食卓を囲むと言う伝統も根強くあります」と語るのは、イタリアのピエモンテ州アルバに在住のForbes JAPANオフィシャルコラムニスト、齋藤由佳子さん。
イタリアのホームパーティーでは、ワイン、ジェラートなどの手土産を持参することがマナーだという。地域ならではの自家製の食べ物が、食卓に並ぶのも定番だ。
「私が住んでいるピエモンテでは冷たい前菜にカルネクルーダ(生のお肉)を食べることも多く、普通の家庭でもサルシッチャやサラミは自宅で仕込んだものを出してくれることが多くあります。またこの辺りは食後酒の文化も豊かな地域なので、自家製のリキュールを仕込んでいるお家も多く、お店では飲めない喉が焼けそうなほど強いリキュールに角砂糖をつけたものなど、さまざまな食後酒が揃えられます」
(Shutterstock)
印象に残っているホームパーティーでのエピソードを聞くと、齋藤さんは大晦日の思い出を語ってくれた。
「大晦日を盛大に祝う習慣はあまりないイタリアですが、日本の習慣に倣って我が家にお招きし、年越しそばを振る舞ったことがあります。コロナ禍だったので隣近所の徒歩圏の知人だけが来たのですが、みんなどこで手に入れたのか浴衣姿でやって来ました。真冬に浴衣姿で打ち上げ花火を見たのは忘れられません」
キスや抱擁で自宅に歓迎する習慣はしばらくは自粛されるが、屋外ではマスクなしで過ごせるようになったイタリアでは、この季節は自宅のテラスや庭でのパーティーが開かれることだろう。
インドの新年を祝う「光の祭典」
インドのホームパーティーを紹介してくれるのは、ラジャスタン州の州都ジャイプール出身の、Varun Sanchetiさんだ。
インドでは、ヒンドゥー教最大の祭典「ディワリ」や、ヒンドゥー教の春の訪れを祝う「ホーリー祭」、冬の祭「サンクランティ」など、主に伝統的なインドの祝祭日にホームパーティーが開かれるという。
別名「光の祭典」とも言われるディワリは、インドの新年を祝うもので、10月下旬から11月中旬の新月の日のことを指す。当日の1〜2週間前から街中がライトアップされ、光を灯すことで神様をお迎えするのだという。
ディワリの準備のため買い物をする人々(GettyImages)
2020年アムリットサールでのディワリの光景。新型コロナ禍での自粛が求められたほか、深刻な大気汚染により花火の打ち上げが禁止された所もあった(GettyImages)
「ディワリの時には、友人やたくさんの親族を自宅に招いて、特別な日にしか食べない甘いお菓子やスナックを食べます」
家族の誕生日の際などもホームパーティーを開催することはあるというが、ディワリほど多くの人を招き、特別な食べ物が並ぶことはないという。