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2021.08.20

ジェフ・ベゾスが認めた学校向けアプリ「Saturn」のポテンシャル

Saturnの共同創設者マックス・バイロン(左)とディラン・ダイアモンド(右)

2015年10月、コネチカット州ウェストポートにあるステープルズ高校では、1800人の生徒たちが課外活動のために教室から自習室へと移動していた。これは米国の高校でよく見られる光景だが、同校では他校と違い、生徒たちがスナップチャットやインスタグラムで連絡を取り合っていなかった。

代わりに彼らが使っていたのは、同校の3年生のディラン・ダイアモンド(Dylan Diamond)が開発した、後に「Saturn」と呼ばれるソーシャルカレンダーアプリだった。

「私は学校専用のアプリを開発し、友人の居場所や仲間内で起きていることを把握できるようにした」と現在22歳のダイアモンドは話す。Saturnというアプリの名の由来は、ローマ神話に登場する時間の神だ。

ダイアモンドは2017年にステープルズ高校を卒業後、ペンシルバニア大学に進学してエンジニアリングとビジネスを専攻し、テスラ車の所有者がアップルウォッチを使って車両をコントロールしたり、運転記録を共有することができる「テスラ・ツールボックス」というアプリを開発して注目を集めた。

テスラはこのアプリのことを知ってダイアモンドを採用し、彼はテスラで最年少の従業員となった。その頃、大学時代の友人のマックス・バイロン(Max Baron)が新たなビジネスの機会について連絡してきたという。バイロンはソーシャルメディアのコンサルティング会社を経営しており、ドクター・ドレーやスナップチャットから出資を受けていた。

ダイアモンドがモバイルアプリ版のSaturn を見せると、バイロンは驚愕したという。「我々2人が一緒になれば、優れた製品を開発できることは明らかだった」とバイロンは話す。その後、バイロンがCOO兼CSO、ダイアモンドがCEOとなってSaturnを法人化し、2019年のシードラウンドでTQ VenturesやGeneral Catalyst、アシュトン・カッチャーなどから評価額4000万ドルで900万ドルを調達した。

ダイアモンドは2020年に、ピーター・ティールのティール・フェローシップに合格して大学を中退した。
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編集=上田裕資

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