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2021.08.24

戦いは、フェイスブックから暗号通貨へ。帰ってきた「ザッカーバーグの敵」

Alli Harvey/Getty Images for Spotify


ジェミナイは創業当初、ほぼビットコインを売り買いするためだけの場所だった。それが、いまや33の暗号通貨の取引と保管を扱う。

現在暗号通貨取引所は300以上あるが、ジェミナイは15年10月、ビットコインに特化した金融機関としては初めて、ニューヨーク州金融サービス局から信託銀行に指定された機関のひとつとなった。つまり、ステート・ストリートやノーザン・トラスト等の銀行と同じ規制要件の対象となり、米国で預金サービスを提供できるようになったのだ。

“規制された”暗号通貨取引所であることが売りのジェミナイは、米証券取引委員会(SEC)が暗号通貨の上場投資信託(ETF)を承認する日が来たときに有利になるよう体制を整えている。また、ビットコイン還元特典付きクレジットカードと、暗号通貨を預金すると7%の利息が付く貯蓄口座を顧客に提供し、株式やその他のブロックチェーン上で発行された有価証券を取引できる代替市場の開設も申請している。

「ジェミナイは、人々が中央集権型の金融や現在利用している銀行から脱却し、この新しい世界へと移行する橋渡しをしています。僕らの事業モデルの基盤は、情報でも個人情報の収益化でもありません。市場と取引手数料です」

キャメロンはそう語る。

もう一組の双子との出会いが起こした変革


この双子の兄弟が集めている暗号通貨に特化したスタートアップのなかでも、NFTの取引市場ほど話題を呼び、将来性を感じさせる企業はない。それが、オークションプラットフォームのニフティ・ゲートウェイだ。

同社は18年11月にダンカンとグリフィンのコック=フォスター兄弟(26)によって設立された。この兄弟も一卵性双生児だ。大学4年生のとき、ダンカンは「クリプトキティーズ」に手を出した。人気のオンラインゲームで、ユーザーが独自にアニメーションの猫を創作、収集し、売買することが可能で、猫はイーサリアムのブロックチェーン上のNFTを使って登録された。

過去のインタビューでダンカンは語っている。

「みんながNFTの購入は複雑すぎると不満を言っていました。ニフティ・ゲートウェイを始めたのは、アクセスの問題を解決したかったからなんです」

コック=フォスター兄弟は当初、ニフティ・ゲートウェイをオークションプラットフォームとしてではなく、マスターカードやビザカードで簡単にNFTを購入する手段として設計していた。実際、19年7月にニューヨークのあるデジタル・アートフェアで1枚の絵に目をとめたウィンクルバイは、スマートホンでニフティ・ゲートウェイにアカウントをつくり、クレジットカードで購入した。

オフィスに戻るや否や、2人はジェミナイのエンジニアリング担当バイスプレジデントから、彼がニフティ・ゲートウェイに注目していたとことを聞かされた。1カ月後、ジェミナイは創業7カ月のこのスタートアップと買収契約を取り結んだ。コック=フォスター兄弟はブルックリンに引っ越し、ジェミナイのエンジニアとともにデジタルアートのプラットフォームを構築した。
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文=マイケル・デル・カスティージョ / スーザン・アダムズ / アントワーヌ・ガラ 翻訳=木村理恵 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN No.083 2021年7月号(2021/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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