デルタ株は従来株の2倍以上の感染力があり、そのため多くの国で優勢になっているとされる。ただ、ウイルスが感染を拡大させる力と、抗体を回避する能力は別のものだという。論文のもう一人の最終著者である同大学のジャコ・ブーン准教授は、次のように指摘する。
「デルタ株が感染を広げて優勢になったことが意味するのは(効率的に複製ができるということであり)、この変異株が他の変異株と比べ、私たちの抗体に対してより強い耐性を持っているということではない」
ワクチン未接種の人の間で感染が急速に拡大する一方、接種を完了した人が依然としてデルタ株に対する防御力を保っているとみられるのは、そのためだという。
ファイザー製ワクチンの有効性については、調査によって結果にばらつきがある(ファイザーは約90%、イスラエル当局は64%としている)。ただ、重症化を防ぐ効果に関する有効性は、イスラエルの研究でも93%とされている。
接種完了者の「ブレイクスルー感染」
デルタ株は、接種を完了した人の「ブレイクスルー感染」にも関連しているとされる。2回の接種を受けた人は、感染しても他の人にうつす力を持つ期間が短くなるとみられているが、それでも、感染をさらに拡大させる可能性がある。
カイザー・ファミリー財団が7月30日に発表したブレイクスルー感染に関する調査結果によると、ワクチン接種後に感染した例は、このときまでに25州で報告されていた。ただ、感染者に占めるブレイクスルー感染の割合は、最も高かったアラスカ州で0.29%。最も低かったコネチカット州で0.01%だった。